「バシャー」雨天時の車の「水はね」 運転時に歩行者へ水をかけたら違反になる?
ゲリラ豪雨も多発 クルマの「水はね」はどう対処すべき?
最近は大雨などの自然災害に遭遇することが多く、水たまりや道路冠水が発生する頻度も高まってきています。雨天時とその後に残る水たまりをクルマで走行すると「水はね」が起きるおそれがあります。
水はねによって歩行者に迷惑をかけてしまうと、交通違反とみなされる可能性があるというのですが、水はねを防ぐためにはどのようにすればよいのでしょうか。
近年、海水温上昇に伴う大量の雨雲の発生により、これまでに経験したことのない大雨による道路冠水などが頻発しています。
また、ウェザーニュース社は2020年の7月から9月までのゲリラ豪雨の総発生回数は全国で2400回と予想しており、この回数は2019年の同期間と比べて1.4倍にあたります。
突然の大雨に遭遇する確率も、これまで以上に高くなりそうです。
教習所でも教わりますが、水たまりを通過する際には歩行者など他者に水がかからないように細心の注意を払って走行する必要があります。
道路交通法第71条1号では「ぬかるみ又は水たまりを通行するときは、泥よけ器を付け、又は徐行する等して、泥土、汚水等を飛散させて他人に迷惑を及ぼすことがないようにすること」と定められています。
そして違反をすると点数は加算されないものの6000円(普通自動車および二輪車の場合)の反則金が科せられます。
ちなみに、道路交通法に記載の泥除け器ですが、ディーラーオプションではマッドガードなどと呼ばれており、悪路などで車輪の回転による泥(マッド)がボディに付着したり、小石などでボディを傷つけたりしないようにする機能を持っています。
このマッドガードは、RV車のみならず、以前は多くのモデルでディーラーオプションに採用されていましたが、最近は道路の舗装整備が進んだり、駐車する際にマッドガードがパーキングブロックに当たることが嫌がられたりして、マッドガードのディーラーオプションの設定がないモデルが増えています。
冠水時の歩行者への水はねへの抑止効果は限定的ですが、設定されている車種の場合は、装着を検討しても良いでしょう。
速度が速くなると、どれくらい水はね被害は大きくなる?
水をはねないためには十分な減速や歩行者との安全な距離を保つことが大切です。そこで、JAFでは、クルマが水たまりを通過したときに発生する「水はねによる歩行者への影響」について検証をおこなっています。
検証条件は、道路の水たまり(わだち状で水深が約1cm)とし、歩行者は車道から一段上がった歩道を利用、歩行者の横をクルマが通過する間隔は約50cmとしています。
クルマはコンパクトカーを使い、「時速40km・時速20km・時速10km」の3つの条件で水たまりを通過し、各速度によってどの程度の水はねが起こるかを調べています。
その結果、時速40kmでは身長約150cmの歩行者の肩の高さまで水しぶきが上がり、車両側方へは約2mまで水がはね、歩行者の衣類が濡れるなど明らかに歩行が妨げられていました。
なお、時速20kmでは、時速40kmに比べて水はねは小さくなりました。しかし、歩行者の足元には水がかかり、時速20kmでも、水はねのリスクがあることが分かっています。そして、さらに速度を落とした時速10kmでは、水はねが歩道に達することはありませんでした。
これらの実験結果から、水はねを防ぐには充分に速度を落として水たまりを通過する必要があることが判明しています。
また、歩行者のみならず、対向車とすれ違うときにも、水はねによって急に対向車の視界を塞ぐ可能性もあり危険です。ドライバーは、このような可能性があることを頭に入れて水たまりを通過しましょう。
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水たまりができているような道路では、ドライバーはタイヤではね上げた水しぶきが歩行者や対向車にかからないよう充分に注意して走行しなければなりませんし、万が一、歩行者に水しぶきがかかってしまった場合は、歩行者に対してケアをする必要があります。
最近ではドライブレコーダー搭載車が増え、後続車が違反状況を記録している場合もありますので、雨天時はこれまで以上に違反をしないよう慎重に運転することをおすすめします。