缶詰は台風や地震などの災害時や、忙しくて時間がないときなどに、あると便利なとても心強い存在です。しかしみなさんは缶詰賞味期限がどのくらいかはご存じですか?「気付いたら賞味期限が数年過ぎてた!」なんて経験はありませんか?今回は缶詰賞味期限のことを中心にお届けしていきます。賞味期限が切れたものは食べられるのか、また未開封の場合と開封後の保存方法の違いなども詳しくお伝えします!

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缶詰の長期保存が可能な理由
非常食や保存食として長期間保存されることの多い缶詰。しかし、みなさんはなぜ缶詰が長期保存できるかを知っていますか?詳しく説明していきますね。

・製造工程に秘密がある



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缶詰が長期保存できる」=「缶詰は長期間腐らない」ということです。腐らない理由は製造工程の中にあります。缶詰は製造する際に食品を密封してから加熱殺菌をします。これが缶詰が長期間腐らない理由です。「防腐剤を使っているのでは?」と誤解されることも多いのですが、防腐剤は使っていないのです。

缶詰の中は無菌状態


缶詰を密封した後に加熱殺菌すると、缶の中は無菌状態になります。食材を腐らせる微生物や細菌を死滅させることができるので、長期間の保存が可能となるのです。

■未開封缶詰の一般的な賞味期限【種類別】

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長期保存が可能な缶詰ですが賞味期限はあります。災害用に保存していてなかなか取り出さない缶詰などは、1年ごとなど期間を決めてチェックすることをおすすめします。また、缶詰にもツナ缶・桃缶・スイートコーン缶など食品の種類はさまざまあり、賞味期限も少し違います。ここからは食品の種類別で缶詰賞味期限、そして缶詰を使ったおすすめのレシピを紹介していきます。

・水産缶詰



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料理でとてもお世話になるツナ缶やほたて缶、そのまま出してもおかずの1品になるさんま缶やさば缶が水産缶詰にあたります。さんま缶やさば缶はもちろんそのまま食べてもおいしいですが、今は時短料理としていろいろなアレンジレシピが紹介されています。

賞味期限》製造日から3年
《例》ツナ・さんま・さば・ほたてなど

鯖の味噌汁

《材料》
さばのみそ煮缶 1缶
水 300cc
酒 大さじ1
塩 少々
おろししょうが お好み
ネギ 約10cm


《作り方》
ネギを小口切りする。
さばのみそ煮缶から、さばの身だけを鍋に取り出し、水、お酒、おろししょうがを入れて加熱する。
沸騰したら火を止めて、さばのみそ煮缶の汁、塩、1を入れてひと煮立ちさせて完成。

味噌汁ですが味噌を使わずに、さばのみそ煮缶の汁を活用する簡単レシピです。

・果実缶詰



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果実缶詰には大きなメリットが2つあります。1つめは旬と関係なく安価で果物を買えることです。果物には旬があり、その時期が外れると買えなかったり、買えても高くておいしくなかったりすることがあります。その点、果実缶詰は1年中安価でおいしいものが食べられます。

2つめは皮をむく必要がないことです。生の果物はもちろんおいしいですが、皮をむくという作業が必要です。その点、果実缶詰は開封すればすぐに食べられるので朝の忙しい時間帯や、体調不良のときなどに気軽に食べられるところもメリットといえます。

賞味期限》製造日から2〜3年
《例》桃・みかん・パイナップルなど

フローズンフルーツヨーグルト

《材料》
お好みのプレーンヨーグルト 400g
お好みの果実缶詰 400g


《作り方》
フルーツを一口サイズに切る。
保存袋にヨーグルトを入れる。
切ったフルーツと缶詰に入っていたシロップを2に入れる。
3をよく揉んで、できるだけ平らにする。
数時間〜半日ほど冷凍庫で冷やしたら完成。

このレシピはお好みの果実缶詰でおいしく食べられると思いますが、特におすすめのものはさまざまな種類の入っているミックスフルーツの缶詰です。たくさんの味や食感が味わえるので楽しいですよ。

・野菜缶詰



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野菜缶詰のメリットは、果実缶詰と同じく旬のあるものでも1年中安価に買えることや、調理の際に皮をむく必要がないので楽なことです。特にスイートコーン缶は缶詰の中でもとても人気なので、常備しているかたも多いのではないでしょうか。

賞味期限》製造日から2〜3年
《例》スイートコーン・トマト・豆など

コーンの中華スープ

《材料》
スイートコーン缶 1缶
水 200cc
卵 1個
鶏ガラスープの素 小さじ1
塩 少々
コショウ 少々
・水溶き片栗粉
片栗粉 小さじ1
片栗粉を溶く水 大さじ1


《作り方》
卵は割って溶いておく。
鍋に水と鶏ガラスープの素とスイート缶を汁ごと入れ、中火で加熱する。
沸騰したら火を止めて塩とこしょうを加え、水溶き片栗粉を入れてかき混ぜる。
再び火をつけて溶いていた卵をグルッと円を描くように回し入れる。
卵が少し固まってきたら火を止めて、あとは余熱で固めて完成。

子どもから大人まで大人気のコーンスープです。スイートコーン缶のレシピで迷ったらぜひ作ってみてください!

・畜産缶詰



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畜産缶詰は水産缶詰と同じく、料理するときの食材になったりそのまま出しても1品となる商品が多いです。時間のない忙しい人の味方になってくれますよ!

賞味期限》製造日から3年
《例》コンビーフ・やきとり・うずらの卵など

ピーマンのコンビーフ詰め

《材料》
ピーマン 4個
コンビーフ缶 1缶
マヨネーズ 大さじ2


《作り方》
ピーマンを縦に切り、種を取り除く。
コンビーフとマヨネーズを混ぜ合わせ、1に詰める。
コンビーフを詰めた面を下にして焼き、焼き色が付いたら反対側を焼いて完成。

ピーマンの肉詰めはおいしいですが、タネを作るのが少々時間がかかりますよね。そんなときにコーンビーフ缶があれば、あっという間にピーマンのコーンビーフ詰めができちゃいます!時短料理のレパートリーにぜひ追加してくださいね。

缶詰賞味期限の見方

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缶詰賞味期限は約3年だと分かりましたが、実際に缶詰賞味期限がどこにどのように表示されているのでしょうか?詳しくお伝えしていきます。

・缶の蓋に表示されることが多い


缶詰賞味期限は蓋に表示されていることが多いです。そしてそこには情報を3段に分けて表示しているものがあります。

1段目:商品の記号
2段目:賞味期限
3段目:工場の記号

最近では1段目、3段目の情報は缶の蓋ではないところへ表記する商品が増えてきていて、蓋には賞味期限のみが記載されているものも多くなってきています。

・『年月日』で記載


例えば賞味期限が2020年9月10日であれば「2020.09.10」と表示されるものが多いですよね?缶詰もこのように分かりやすく表示されるものが増えてきていますが、他にも「20.09.10」のように西暦の下2桁のみを表記しているものもあります。賞味期限の数字が6文字だったら、西暦の下2桁だと覚えておくと便利ですね。

賞味期限が切れた缶詰は食べられる?

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長期間の保存が可能な缶詰は、ついつい食べるのを忘れてしまって賞味期限が切れてしまうことも多いかと思います。でも賞味期限が切れてしまったからといって、すぐに捨ててしまうのはもったいないです!ここからは賞味期限が切れてしまった缶詰についてお伝えしていきます。

賞味期限と消費期限の違い


みなさんは賞味期限と消費期限の違いは知っていますか?詳しくまとめました。

賞味期限
食品をおいしく食べられる期限。
品質の劣化が比較的遅いものにつけられる。
例:缶詰、カップ麺、スナック菓子など

【消費期限】
食品を衛生上安全に食べられる期限。
品質の劣化が早いものにつけられる。
例:弁当、生の肉、ケーキなど

缶詰に表示されている賞味期限とは「おいしく食べられる期限」なので、過ぎてしまったからと言ってすぐに捨てる必要はないのです。

・冷暗所・湿気の少ない場所で保存すればOK



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賞味期限が多少切れていても食べられるとされていますが、それは保存方法にもよります。賞味期限は未開封状態での期限なので、まずは未開封であることが前提です。また保存場所も重要で、缶詰の保存場所は直射日光が当たらなくて湿気の少ない場所(冷暗所)が適しています。それとは対照的な高温多湿な場所で長期間保存していると、賞味期限以内であってもおいしく食べることができない可能性が出てくるのでご注意ください。

・味の変化



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上記のように缶詰は未開封の状態で適切な場所に置いていたら、賞味期限が過ぎても味の変化はほぼないと言われています。その理由は、賞味期限を決める際の検査の中にありました。加工食品が作られるときにはいくつか検査があるのですが、今回大きく関わってくるのは「食品を長期間保存して味の変化があった時点を見つける検査」です。

味が変わった時点を賞味期限と考えがちですが、実は賞味期限は味が変わった時点よりも前倒しで設定されています。「缶詰だからなんとなく賞味期限が切れてても大丈夫」ではなく、きちんと検査をした上で、賞味期限が切れてもおいしく食べられると証明されているのですね。

賞味期限が切れた缶詰が食べられるか見分ける方法

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缶詰は長期間の保存が可能で、賞味期限が多少切れていても食べられることをお伝えしてきましたが、保存方法を間違えていたり賞味期限を何年も過ぎていたりすると食べられるか不安になりますよね。ここからはそんな困ったときに参考にしていただきたい、缶詰が食べられるかどうかを見分ける方法を紹介していきますよ!

・缶が錆びついている


缶が錆びつくのは、温度変化が激しかったり、湿気の多い場所に長期間置いたことが原因と考えられます。少々の錆は問題ないと言われていますが、錆の部分が広がっていてその部分に穴が開くと密封状態が保たれていないので危険です。缶が錆びついている場合は、錆の部分をよく確認してから食べるようにしましょう。

・缶の蓋が膨らんでいる



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缶の蓋が膨らむのは、缶のどこかに穴があき、微生物や細菌が侵入して食品の腐敗が進んでしまっているのが理由です。食品の腐敗が進むとガスが発生して、蓋や容器が膨らむことがあります。とても危険な状態なので絶対に食べないようにしましょう。

また、この状態になっていると通常時と同じように開封するのは危ないです。缶を開けた際に中身が飛び出す可能性があるので、缶詰よりも大きい容器(バケツなど)に水を入れて、そこに膨らんでしまった缶詰を沈めて穴を開けるようにしましょう。そうすると中身は飛び散らず安全に処理ができます。

・缶の蓋を指で押すとへこむ



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缶の蓋を指で押すとへこむ原理は、上記の「缶の蓋が膨らんでいる」と同じです。缶詰はほぼ真空の状態を保っていて蓋は硬いので、通常時は指で押してもへこむことはありません。そのため、押すとへこんでしまうときは食べるのを避け、開ける際には上記のように水の中で作業しましょう。

・腐敗臭がする


見た目だけで判断できない場合は匂いを確かめましょう。微生物や細菌が侵入して缶詰の中身が傷むと、開封したときに腐敗臭がします。この場合も食べることはできませんので廃棄してしまいましょう。

■開封した缶詰賞味期限はどれくらい?

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これまでは未開封状態の賞味期限の話をしてきましたが、大容量の缶詰だと一度に使い切れない場合もありますよね。そこでここからは、開封した缶詰の保存方法や賞味期限についてお伝えしていきます。

・容器に入れ替えて冷蔵庫で保存


缶詰の容器の内側はコーティングされているものと、されていないものの2種類があります。コーティングされていない缶詰を開封すると、容器の内側に空気が触れて『スズ』という成分が溶け出します。『スズ』は微量の摂取であれば人体に害はないのですが、開けてから缶のまま置くと、空気に触れて『スズ』が溶けやすくなるので、開封したら中身を缶から取り出し、他の容器に入れ替えて保存しましょう。

・保存期間の目安



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開封した缶詰の保存期間はだいたい2〜3日です。缶詰が長期間保存できる理由は密封状態で加熱殺菌をするからです。中身の食品自体が長持ちするわけでも、防腐剤を使っているというわけでもありませんので、開封したら保存期間が短くなることは頭に置いておきましょう。

・トマト・果物・ツナ缶は冷凍も可能


缶詰を開封してしまったけれど2〜3日で食べきれない場合は冷凍保存はいかがでしょうか?冷凍保存に向かないものもありますが、よく使用するツナやトマトや果物の缶詰は冷凍保存が可能です。冷凍する際には保存袋に油や汁も一緒に入れ、できるだけ平らにして空気を抜くようにしましょう。冷凍の保存期間は2週間〜1ヶ月ほどです。

・開封したらすぐに食べ切るのがおすすめ



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缶詰は開封された時点で微生物や細菌による食品の劣化が進むので、開封したものは早めに食べるのがおすすめです。どうしても2〜3日のうちには食べられないと言う場合は、冷凍保存をするか加熱してから保存するようにしましょう。

■長期保存が可能な便利な缶詰!しかし放置するのはNG!

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缶詰賞味期限が約3年と長く、さらに賞味期限が多少切れても食べられることが分かりましたね。しかしそれは未開封の状態で湿気の少ない冷暗所に保管していることが前提です。また、開封後は缶の成分による腐敗の可能性があるので、缶から別の保存容器に移すことも重要となってきます。なんとなく保存するのではなく、正しい方法で缶詰を保存してくださいね。

缶詰は長期保存が可能で災害時や非常時にはもちろんのこと、忙しくて料理ができないような日常の中でも便利で心強い存在です。保存方法をしっかり守って、いざというときにどんどん使っていきましょう!

《参考》
日本缶詰びん詰レトルト食品協会「Q&A」
(AYA)