黒沢清監督(写真は9日に行われた会見で撮影)

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 現地時間12日、第77回ベネチア国際映画祭のコンペティション部門の授賞式がイタリアで行われ、黒沢清監督がメガホンを取り、蒼井優が主演、高橋一生が共演した映画『スパイの妻』が銀獅子賞(最優秀監督賞)を受賞した。日本人監督の同賞獲得は第60回に『座頭市』で受賞した北野武監督以来。

 『スパイの妻』は NHK BS8K で放送されたドラマの劇場版。太平洋戦争前夜に時代の荒波に翻弄される夫婦の姿を映し出す。偶然恐ろしい国家機密を知って事の顛末(てんまつ)を明るみに出そうとして反逆者と疑われる優作を高橋、優作の妻でスパイの妻と罵られながらも愛する夫と手に手を取って生きていこうとする聡子を蒼井が演じた。

 黒沢監督は自身初のベネチア映画祭コンペティション部門選出で、銀獅子賞を獲得する快挙を達成した。新型コロナウイルスの影響で現地入りは実現しなかったが、9日にベネチアに向けてリモートで行われた会見で黒沢監督は本作について「自分にとって大きなテーマは社会の中で個人がどう生きるか。どう共存するか、対立するのかということが自分にとって興味深いテーマのひとつでした」と現地の人たちに向けて紹介していた。(編集部・海江田宗)

映画『スパイの妻』は10月16日公開