「個人で状態を上げていくのは当たり前のこと。そのうえでチームでのコンビネーションを積み重ねていく必要があると思います。大槻監督も前の選手、横の選手との関係性を重要視しているので、もっといいテンポでボールを回したり、守備面でもいい距離感でボールを奪いに行くとか、そういう練習を積み重ねていく必要があると思います。リーグ開幕時にはそういうシーンが多く出ていた。それを思い出して再開後に同じようなパフォーマンスができるように頑張っていきます」

 武藤がこう話したように、町田戦の浦和は攻守両面の連携不足が確かに目立った。長期間のブランクを取り戻すのは簡単なことではないが、急ピッチで完成度を高めるしかない。そういうなかで、FW陣の組み合わせも確立されていくだろう。武藤の主たるパートナーがこの日のように伊藤になるのか、他のFWになるのか分からないが、誰と組んでも最高のパフォーマンスを発揮することが肝要だ。

「レオナルドはゴールを取れる選手。彼がいるだけでみんなのゴールへの執着心が高まってくる。涼太郎もすごく技術の高い選手。昔は好きなことだけをやってる傾向があったけど、チームにとって有効なプレーを選択できるようになった。そういう仲間の特徴をよく理解しながら連携を深め、結果を出しながら競争していけるといいですね」

「FW陣の生かし生かされる関係」を築き上げるためにも、献身性と運動量、戦術眼に秀でた武藤の役割がより重要になるのは間違いない。3週間後の再開初戦は2019年J1王者、横浜F・マリノスいう難敵との激突となるが、彼らの一挙手一投足が本当に楽しみだ。

文=元川悦子