ネコによる野生動物の被害は世界中で報告されており、北米では年間300億匹もの野生動物が外飼いのネコによって殺されているとの調査結果もあります。こうした状況から、各国ではネコを室内で飼うことが推奨されているわけですが、外に出られない状況というのはネコであってもストレスを溜めてしまうもの。そんな室内飼いのネコの幸せを保つための15のアドバイスを、獣医学者であるAndrea Harvey氏とRichard Malik氏が挙げています。

Don't let them out: 15 ways to keep your indoor cat happy

https://theconversation.com/dont-let-them-out-15-ways-to-keep-your-indoor-cat-happy-138716

Harvey氏らがアドバイスする、「ネコの幸せを保つ15のヒント」が以下。

◆01:ネコ用トイレの猫砂はできれば土に近いタイプがよく、1日に2回は糞便や尿で汚れた砂をすくって捨て、トイレのトレーは1週間に1回交換する。また、飼っているネコ1匹につき1個のネコ用トイレを設置した上で、さらに屋内の静かな場所にもう1つ余分なトイレを設置する。そして、一方のトイレは周囲を囲って見えないようにして、もう一方のトイレは囲いをなくして開放的にするなど、ネコがトイレをする場所に多様な選択肢があるといい。

◆02:ネコが気に入っている毛づくろいブラシを使って定期的に毛づくろいすることで、マッサージのような心地よさをネコに提供できる。

◆03:たまにはネコ用の生肉を使ったエサを与えることで、ネコがよく肉をかんで歯茎のマッサージになるほか、ネコの所有欲を満たすことができる。一部のネコは生肉を食べる前に生肉を叩きつけ、まるで獲物を殺すような仕草も見せるとのこと。

◆04:ネコにとっては水平方向よりも垂直方向のスペースが重要なため、はしごやキャットタワーを設置し、ネコが冷蔵庫などの家具やタワーの上に登ることが可能な状態にする。

◆05:ネコは窓から外を眺めることが好きなため、窓の近くまで近寄れるようにスタンドなどを設置する。



◆06:ネコは安全で隔離された複数の場所を好むため、柔らかいブランケットの入ったネコ用のかまくらやバスケットを、さまざまな場所に設置する。できれば、それぞれのバスケットは高さが異なる位置にあるといい。

◆07:ネコは暖かい場所を好むため、ネコ用のバスケットを日当たりがいい場所に設置したり、ヒーターの近くに設置したりする。

◆08:ネコの安全を確保するため、窓にはネコが通過できない網戸をしっかりと設けて、2階以上の高さから落下してケガをしないようにする。また、ネコが勝手に外へ出ないように、ドアにはオートロック機能を付けておく。

◆09:ネコ用の爪とぎタワーを用意して、ネコの「爪をとぎたい」という欲求を満たす。

◆10:柵などで囲った遊び場所を庭などに設けることで、室内飼いのネコが安全に屋外で運動できるようにする。



◆11:3匹以上のネコを一緒に飼うとケンカして健康上の問題が出る可能性があるため、一緒に飼うネコの数は1匹か2匹が好ましい。1匹だと飼い主がいない時に寂しいため、できれば同じ親から生まれた2匹が理想的。

◆12:ネコが楽しんで運動できるように、エクササイズ用の小さなボールなどを用意して一緒に遊ぶ。

◆13:エサを食べる時に工夫が必要となっており、野生での捕食行動を再現する「パズルフィーダー」を使い、エサを食べる際に楽しみを提供する。

◆14:飼い主が1日に数回は自分の時間を飼いネコのために割いて、ネコと一緒になって遊ぶ。

◆15:鳥や魚などの映像を眺めることが好きなネコもいるため、YouTubeなどにある「ネコを楽しませるためのムービー」を見せてネコを楽しませる。

Cat Entertainment Videos : Video for Cats To Watch Birds : ULTIMATE 8 HOURS - YouTube

一部の人々は、ネコが自由に外を出歩けないようにすることはネコにとって不幸だと考えていますが、室内飼いのネコは外飼いのネコよりも長生きする傾向があり、ネコを室内で飼うことはネコにとっても利益があります。

ネコが自由に屋外を出歩ける状態だと、車との接触事故やイヌやヘビといった危険な動物に襲われる可能性、あるいは毒性のある植物や食べ物を口にしてしまうリスクがあります。また、特に去勢をしていないオスのネコは縄張り争いで攻撃的になるため、ケンカでケガをしたり、相手の血液からネコ免疫不全ウイルスなどの病気をもらったりする可能性もあるそうです。



しかし、ただ単にネコを室内に閉じ込めておくだけでは、ネコにとって幸せとはいえません。トイレや食事といった環境を整え、ネコが室内でも退屈せずに遊べるような工夫を設けることで、飼い主はネコの幸せを保つことができるとのことです。