バーク記者が選んだブンデスリーガ過去20年のベスト11。(C) Getty Images

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 まずGKはマヌエル・ノイアーかオリバー・カーンのどちらかだろう。両者ともワールドクラスであるのは間違いない。ただ、足下の技術に優れたモダンなGKの先駆けとなった点、そしていまだにトップクラスに君臨し続けている点を考慮し、前者を選んだ。フットワーク、反応の速さ、横っ飛びジャンプ、どれをとっても最高峰だ。

 議論の余地がないのが右SBだ。フィリップ・ラームはブンデスリーガ史上最高の右SBであるだけでなく、全世界を見渡してもトップ3に入るのではないだろうか。長年キャプテンとしてバイエルンをまとめ、数々のトロフィーを掲げた名手だ。

 CBはマッツ・フンメルスとルッシオのふたり。ドルトムントとバイエルンで計5回のリーグ制覇に貢献した前者は、抜群のデュエルの強さだけでなく、的確なビルドアップも一級品。とりわけアウトサイドでのパスは秀逸だ。レバークーゼンとバイエルンの最終ラインを支えた後者は、鋼のようなメンタルと攻撃参加した時の躍動感が特長だった。

 左SBは現バイエルンの選手だ。攻守両面の活躍を評価すれば、ダビド・アラバの選出に異論はないだろう。長年に渡ってハイパフォーマンスを維持している点も見逃せない。
 
 セントラルMFには、絶大な存在感でレバークーゼンとバイエルンを牽引したミヒャエル・バラック。2000年代前半を代表する“ブンデスの顔”と言っていいだろう。

 そのバラックの前で攻撃のタクトを振るうのがジエゴだ。とりわけブレーメン時代はその天才的なパスと卓越したテクニックでファンを魅了した。今回選んだベスト11の中で、唯一バイエルンでプレーしていない選手ということになる。

 サイドアタッカーは、右にアリエン・ロッベン、左にフランク・リベリの“ロベリー”コンビ以外に考えられない。両雄とも、テンポ、ドリブル、シュートテクニックと全てにおいて超一流で、10年に渡ってバイエルンで違いを作り続けた。とくに記憶に残っているのは、ロッベンが右サイドからカットインして、フェイントでマーカーを翻弄し、ファーサイドのゴール角にシュートを流し込むシーンだ。
 
 2トップもバイエルン勢になってしまうのは、致し方ないだろう。ひとりはドルトムントでワールドクラスへと成長したロベルト・レバンドフスキで決まり。リーグ史上3位、外国人としては最多の228ゴールを叩き出すなど、フィニッシュの上手さは格別だ。コンビネーションプレーという点でも世界トップクラスに入るだろう。

 FWのもうひとりは、意見が分かれるところかもしれない。41歳となった今でもブレーメンでプレーしているクラウディオ・ピサーロと迷ったが、ジオバネ・エウベルを選んだ。過去20年となると、シュツットガルト時代とバイエルンでの最初の2シーズンは含まれない。それでも、残りの4シーズンのリーグ戦120試合で68得点を記録した決定力の高さは印象的だった。

 ユルゲン・クロップかジョゼップ・グアルディオラか、監督をひとりに絞るのは難しい選択だった。バイエルンを新しいフェーズに導いたペップも称賛に値するが、何もないところからドルトムントを2度のリーグ制覇(うち1回はDFBカップとの2冠だ)とチャンピオンス・リーグ決勝進出に導いたクロップを選んだ。大金を使わずに自身のサッカーにマッチする選手を集めて戦術を植え付け、何年にも渡ってアグレッシブで魅力的なゲームを見せてくれたからだ。

文●マルクス・バーグ
翻訳●円賀貴子

【著者プロフィール】
長年ドルトムントを中心に取材を続け、ドイツ公共放送の人気スポーツ番組「Sportschau」のウェブ版でドイツ代表番も務める。ドルトムント在住。