映画『性の劇薬』が初日を迎えた渡邊将と北代高士

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 水田ゆきのBL漫画をR18+の過激描写で実写化した映画『性の劇薬』の初日舞台あいさつが14日に池袋シネマ・ロサで行われ、北代高士、渡邊将、城定秀夫監督が来場、満席となった会場に感激の表情を見せた。

 本作は人生につまずいて自暴自棄になったエリート会社員の桂木(渡邊)が、謎の男(北代)に監禁され、屈辱を与えられるも、そこからやがて"生"の意味を見つけ出していくさまを描き出した作品。

 満席の会場を見渡した渡邊が「平日から、こんなにたくさんの方に来ていただいて」と感激の表情を見せると、城定監督も「今日はふたを開けるまで、どうなるかわからなかったんで良かったです」と晴れやかな表情。過激な描写を前面に押し出しながらも、根底には深い愛情模様が流れる作品ということで、映画の余韻に浸ったままの観客に対して北代は「みなさん、めちゃめちゃ緊張していますね。ものすごく激しいものを観た後で、僕たちが出てきましたからね」と笑顔でコメント。その言葉に、緊張した会場の雰囲気もふっとゆるんだ。

 BL作品をR18+指定の過激描写で描くというチャレンジングな作品となった。そんな作品に挑もうと思った理由について城定監督は「R15+のBL作品ならいくつかあるし、ちょっと名前のある役者でゆるくやるよりは、渡邊くんや北代くんみたいな新人と思い切りやりたいなと思って。そういう形でやらせて欲しいなと思いました」と述懐した。

 渡邊も「いろいろな作品のオーディションに行ったこともありましたが、この作品はスタッフのみなさんの熱量が違うんです。『こういう挑戦的な作品になるのは、覚悟の上でやっているよ』と。オーディションの段階で、いつもと違うし、挑戦的な作品になりそうだなと感じました。僕も(新人として)どうせ世の中に出るなら、こういうインパクトのある役で挑戦したい」と感じ、「正直、最初は躊躇があったけど、どうせ出るならと思って。そこは割り切って、思い切ってやろうと思いました」と瞳をうるませながら、まっすぐに語った。

 一方の北代も「初めての挑戦というところは、役者として惹かれるものがあって。R18+のBL映画は珍しい。そこに役者として飛び込めるチャンスは魅力的でした。でも、いい方向に転がる可能性がある反面、逆にそれはリスクもあることだから。オーディションを受ける段階からものすごく悩みました。だから合格ですと言われても、悩んでいました。でもその時に(スタッフと)コミュニケーションをとらせていただいて。熱量をものすごく感じたんです。原作に対してものすごく愛があって。それをどう届けるかということに真摯に向き合っていた。そこに気持ちを動かされたところはあります」と挑むにあたっての“覚悟”について明かした。

 劇中では、渡邊演じるキャラクターが口笛を吹くシーンがあるが、その時の撮影を振り返った北代は「(渡邊は)めちゃくちゃ口笛が下手なんですよ。メイクルームでメイクをしている間もずっと鏡を見ながらフーッ、フーッと口笛を吹こうとしている顔が可愛くて。その一生懸命な姿を見たときに、うまくやっていけそうだなと思いました」と振り返る。練習に練習を重ねた口笛だったが、結局、渡邊は最後までうまく吹くことができず、他の人の口笛で吹き替えたとのこと。そんな渡邊の天然っぽい雰囲気に北代は「愛されキャラですよね」としみじみ付け加えた。(取材・文:壬生智裕)

映画『性の劇薬』は池袋シネマ・ロサほか全国順次公開中