ホアキン・フェニックス アカデミー賞受賞で早世の兄に言及

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現地時間10日、第92回アカデミー賞受賞式が米ロサンゼルスのドルビーシアターで開催され、『ジョーカー』のホアキン・フェニックス(45)が主演男優賞を獲得した。PEOPLE誌が受賞の際のスピーチについて報じている。

’93年、19歳の時に敬愛する兄リヴァーさんを突如失い、長く失意の底に囚われていたホアキン。兄と比較されながらも、俳優として確かな実力を備えていた彼は、ハリウッドでの存在感を徐々に強めていった。しかし’08年、「俳優を引退してラッパーになる」と宣言し、表舞台から姿を消す。寝耳に水の展開に家族や友人はうろたえ、ファンは悲しみ、メディアは奇行を繰り返すホアキンを追いかけ回した。

2年後、ラッパー宣言に始まる一連の行動が、ケイシー・アフレックが監督を務めるフェイク・ドキュメンタリー『容疑者ホアキン・フェニックス』(’10年)の“仕込み”であったことが明かされる。2年もの間周囲を完全に騙したホアキンは、各方面からの怒りを買い、扱いにくい“お騒がせ俳優”というレッテルを貼られてしまう。

そんな過去もあって、受賞した場合はステージで何かしでかすのではないかと心配するファンもいたが、過去の自分と向き合った真摯なスピーチを披露した。

「僕はこれまでずっと悪党でした。自分勝手で、時に残酷で、一緒に仕事をするのが難しい人間でした。今ここにいるたくさんの人々に感謝します。2度目のチャンスを与えてくれたことに。そして、自分が最高の状況にあるときにこそ、人は助け合うべきだと思います。過去の過ちを取り消すときにではなく、お互いの成長を助け合うとき、お互いを教育し合うとき、お互いを贖罪へと導くときに。これこそが最高の人間性です」

そして目に涙を浮かべ、声を詰まらせながら「兄が17歳の時、この歌詞を書いたんです。愛をもって人を助けよう、そうすれば平和が訪れる、と」。兄リヴァーさんの遺した言葉を引いて、ステージを後にした。