水頭症で誕生した男児(画像は『The Sun 2020年2月4日付「MIRACLE BOY I refused to abort my baby just because of his swollen head - now he’s defying all the odds」(Credit: Mercury Press)』のスクリーンショット)

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英ウェストヨークシャー在住の5児の母は、妊娠中に胎児が重度の水頭症であることを知った。医師には「生存の可能性が低く障がいも残るだろう」と中絶を勧められたが、赤ちゃんは1月に誕生。今月8日で生後1か月を迎える。『Mirror』『The Sun』などが伝えた。

ウェストヨークシャーのハダーズフィールドに住むニッキー・ポンツーンさん(Nikky Pontone、28)は、妊娠20週の検診でお腹の中のロレンツォ君(Lorenzo)に異常があることを知った。ロレンツォ君は髄液が頭蓋腔内にたまり脳室が大きくなる「胎児期水頭症」で、医師から「頭部がかなり大きくなっている。重度の水頭症で大量にたまった髄液が脳を圧迫しているため、脳がかなりの損傷を受けている」と告げられた。

その後の検査では、医師から「死産の可能性が高く、生存したとしても長くは生きられない。また目や耳の障がい、痙攣のリスクも非常に高く、歩くことも難しいだろう」と告げられ、ロレンツォ君の中絶を勧められた。しかしニッキーさんは夫のフェルナンドさん(Fernando、33)と話し合いを重ね、不安を抱えながらも妊娠を継続することを決意した。ニッキーさんは当時をこう振り返っている。

「ロレンツォは避妊をしていた時にサプライズで授かった命でした。水頭症と分かった時は気が動転しましたが、その数週間後の検診でロレンツィオが脳動脈瘤の破裂を起こしたことを知ったのです。医師には中絶を勧められ、ショックで打ちのめされました。」

「それでも私たちは、中絶はせず自然の成り行きに任せようと決めたのです。もちろん検査をするたびに不安でしたが、彼が生を受けたのには理由があると思ったのです。どんな子だって実際に産まれてみないことには分からないのですから…。」

その後、ロレンツォ君の頭部は大きさを増したため、ニッキーさんは妊娠36週だった1月8日にロレンツォ君を帝王切開で出産した。ニッキーさんは息子の誕生についてこのように語っている。

「息子は産声をあげず、『ああ、ダメだったんだ』と思いました。でも10分後くらいだったかしら、あの子の泣き声が聞こえたのです。その瞬間、抑えていた感情が一気に噴き出しました。そしてあの子を見た時は涙が溢れ出て止まりませんでした。」

「死産を覚悟していたので、あの子が生きていたことはまさに奇跡だったのです。ただ誕生後は困難の連続でした。ロレンツォは瞬きをすることができなかったため、医師は両目の端を縫い合わさなければなりませんでした。誕生して10時間後には肛門がないことがわかり、人工肛門(ストーマ)の手術を受けています。あの子は一生排泄物を溜めるストーマ袋を付けなければなりません。また自分でミルクを飲むことはできないので、今は細いチューブを鼻腔から通し栄養を摂っています。」

「ロレンツォの水頭症はかなり重く、生後2週の時に脳に溜まった髄液をお腹に流す『脳室腹腔シャント術』を受けました。脳室は酷く拡大し、嚢胞も確認されています。またMRI検査ではほとんど脳がないことが分かりました。脳は髄液でいっぱいなのです。あの子が生命を維持できているのは意識や呼吸、循環などを調節する脳幹があるからなのです。」

「ただロレンツィオは、生後2週で瞬きができるようになり、自分で呼吸もしています。医師にはシャント手術をしたことにより、大きな頭は少しずつ小さくなると言われています。まだまだこれからが大変ですが、私の12歳、10歳、8歳、5歳、10か月の兄姉たちは、あの子の誕生をとても喜んでいるのです。医師の言葉に反し一生懸命生きているあの子を私たちは誇りに思っています。」

なお5人の子供の子育てと病院でロレンツォ君の看病を続ける夫妻は現在、クラウドファンディングサイト『GoFundMe』で治療費などの寄付金を募っている。そして最新の投稿でニッキーさんはこう明かした。