「究極の暗号」で遺伝情報を伝送 東芝と東北大、初成功

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 盗聴が原理的に不可能な「究極の暗号」である量子暗号を使い、24人分のヒトゲノム(全遺伝情報)を伝送することに東芝と東北大が成功したと、14日発表した。

 送ったデータ量は映画10本分に相当する数百ギガバイト。ゲノムのような高い秘匿性が求められるデータをこれほど大容量で伝送できたのは世界初といい、東芝は「量子暗号が実用レベルになった」としている。

 現在広く使われている暗号は、整数を素数のかけ算の形にする素因数分解は、整数が非常に大きいと困難になるという性質を利用している。しかし、量子コンピューターが実現すると短時間で解読できるとされ、それまでに量子暗号を実用化しようと各国が開発を急いでいる。量子暗号は盗聴を必ず検知でき、暗号を解く鍵を作り直すことで第三者による解読を避けられるからだ。

 特に熱心なのは中国で、人工衛星を介した遠距離の伝送を2017年に成功させ、翌年には北京と上海間約2千キロを結ぶ世界最大の量子暗号ネットワークを構築した。すでに新華社通信や銀行、電力会社が利用を始めているとされる。

 一方、日本は、大容量のデータを短時間に送る高速通信に強みがある。情報通信研究機構(NICT)や東芝、NECなどが世界最高速の送受信機を開発してきたほか、国際標準化に向けた議論を主導している。