「アルテミス1」ミッション用のSLSコア・ステージ、4基のエンジンがすべて揃う
2020年に予定されているNASAの新型宇宙船「オリオン」の初打ち上げ。そのミッションに使われるロケット「SLS(スペース・ローンチ・システム)」のコア・ステージに、いよいよすべてのエンジンが搭載されました。
■スペースシャトルのエンジンを改良した「RS-25」を4基搭載
4基の「RS-25」エンジンがすべて搭載された「SLS」のコア・ステージ(Credit: NASA/Eric Bordelon)
2024年の有人月面探査再開を目指すNASAでは、宇宙飛行士を乗せて地球と月を往復するオリオン宇宙船の製造を進めています。早くも来年2020年には「アルテミス1」ミッションとして、完成したオリオンによる無人のテスト飛行が実施される予定です。
アルテミス1で無人のオリオン宇宙船を打ち上げるSLSは、現在ルイジアナ州ニューオリンズにあるNASAのミシュー組立工場で製造が進められています。10月下旬からはSLSのコア・ステージにエンジンの搭載が始まり、11月9日に4基すべてのエンジンが取り付けられました。コア・ステージのエンジン「RS-25」は、スペースシャトルに3基搭載されていたエンジン「SSME」を改良したものです。
10月下旬に1つ目のエンジンが搭載されたところ(Credit: NASA/Jude Guidry)
スペースシャトルのエンジン、外部燃料タンク、固体燃料ロケットブースターなどをもとにした新しいロケットの設計・製造は、2004年にジョージ・W・ブッシュ政権下で始まった「コンステレーション計画」でも予定されていましたが、オバマ政権下の2010年に仕切り直す形で中止となりました。
2011年に退役したスペースシャトル以来、NASAの宇宙船としては9年ぶりとなるオリオンの2020年初打ち上げは、シャトルの技術を新たな形で引き継ぐという16年越しの取り組みが、SLSとして結実する瞬間でもあるのです。
「アルテミス1」ミッションでSLSによって打ち上げられる「オリオン」宇宙船(Credit: NASA/Radislav Sinyak)
Image: NASA/Eric Bordelon
Source: NASA
文/松村武宏