トヨタが「グランエース」発表で新規車種を歓迎するはずの販売現場から上がった「動揺」の声とは
アルファード&ヴェルファイアを超える高級ミニバン
トヨタは2019年10月8日にフルサイズワゴンとなる、「グランエース」を東京モーターショーのトヨタ車体ブースに展示、そして2019年内に発売予定であることを発表した。
グランエースは2019年2月にフィリピンで世界初公開された、フロントにセミボンネットを持つ新型ハイエースがベースのモデル。ベースとなった新型ハイエースはその後タイでは「コミューター」、インドネシアでは「ハイエース」などとして、ASEAN各国のオートショー会場に展示して“お披露目”も行っているが、どのショー会場でも注目度が高かったのが印象的であった。ASEAN諸国で披露されたモデルは、日本で言うところの「ハイエースコミューター」の後継モデルのような、マイクロバスという表現の似合うモデル。
一方オーストラリアでは、この新型ハイエースをベースとした、フルサイズラグジュアリーミニバンとして、「グランビア」というモデルが2019年10月中旬に正式発売となっており、今回のグランエースはこのグランビアの日本版と表現したほうが良さそうだ。
しかしトヨタが発信したニュースリリースを見た販売現場、つまりトヨタ系ディーラーではちょっとした動揺が走ったそうだ。
大きなボディサイズにメンテナンス上の問題が……
「ボディサイズを見て驚きました。全長5300×全幅1970×全高1990mmというボディ寸法では、ウチの店舗の整備工場にあるリフトには長さ、幅ともにオーバーしていて載せることができません。車両重量も重すぎて対応していない可能性もあります。販売車種が増えるのは歓迎しますが、メーカーが販売予定とのリリースを発信すれば、お客様からの問い合わせがくることになりますが、メンテナンスについてどうなるのかがはっきりしないと、販売促進活動が進めにくくなりますね」とのことであった。
このような話は店舗ごとの個別の問題になるのかもしれない。ただ、全国のすべてのトヨタ系ディーラーで扱う予定だとリリース発信したのならば、そこにはすべての店舗でメンテナンス対応できますよということも当然含んだものと消費者は判断するだろう。
グランエースの国内導入については、インバウンドの空港への送迎やグループツアーなどでのニーズ、つまり旅客輸送ニーズが念頭にあるともされている。これはアジア系インバウンドを中心に、アルファード&ヴェルファイアでの空港への送迎などでの利用での人気が高いことがあるようだ。グランエースは3列6名乗車だけでなく、4列8名乗車仕様の設定もあるとのこと。
アルファード&ヴェルファイアは3列で7名乗車だけでなく、8名乗車もあるが、全長は標準的なモデルで4945mm、全幅は1850mm、ホイールベースは3000mm。グランエースは全長でプラス355mm、全幅でプラス120mm、ホイールベースでプラス210mmとなるので、明らかにグランエースのほうが快適性は増す。アジア系インバウンドだけでなく、欧米系インバウンドへのウケもアルファード&ヴェルファイア以上となるのは間違いないだろう。
前述したようにASEAN諸国では、グランエースほどラグジュアリーなイメージのない新型ハイエースでも、オートショー来場者からの注目度は抜群に高かった。まだ新型ハイエースやグランビア、グランエースなどが市販はおろか披露もされていない中国でも、さっそくトヨタのリリースベースでニュースが発信されるほど高い関心を示しており、中国国内への導入予定などを探っているようなので、中国のひとたちへのウケも抜群だろう。
販売面では大いに期待が持てるグランエースだけに、前述したメンテナンスの問題などが起きないようにくれぐれも配慮してから正式発売をしていただきたい。