[AFC U-16選手権予選]後半ATに執念の同点弾!グループ1位で予選突破のU-15日本代表、苦闘から得た刺激を糧に
[9.22 AFC U-16選手権予選第3節 U-15日本代表 2-2 U-15マレーシア代表 ラオス]
22日、AFC U-16選手権2020予選グループJの第3戦がラオスのビエンチャンの国立競技場で開催され、U-15日本代表はU-15マレーシア代表と対戦。東南アジア王者を相手に激しい攻防戦となり、一時は1-2とリードを奪われたものの、後半アディショナルタイムのゴールで引き分けに持ち込み、グループ首位での予選突破を果たした。
この日の先発はGK松原快晟(カマタマーレ讃岐U-15)、DFが右から坂井駿也(ソレッソ熊本)、杉田隼(横浜FCユース)、池谷銀姿郎(横浜FCジュニアユース)、植田悠太(京都サンガF.C.U-15)、中盤の中央に大迫塁(神村学園中)、福井太智(サガン鳥栖U-15)、両サイドに楢原慶輝(鳥栖U-15)、北野颯太(セレッソ大阪U-15)、前線には内藤大和(ヴァンフォーレ甲府U-15)と鈴木大翔(ガンバ大阪ジュニアユース)の二人が入った。松原と杉田は初先発で、これで負傷離脱したMF梶浦勇輝(FC東京U-18)を除き、登録メンバー全員が予選のピッチに立つ形となった。
第2戦でマレーシアがラオスに敗れる驚きのジャイアントキリングがあったグループJ。このため、マレーシアはこの試合に勝つしかない状況だった。ただ、森山佳郎監督のマレーシアへの評価は一貫して高く、「オーストラリアに3-0で勝っているチームだし、非常にタフなチームだと思っていた」と言う。日本は「これが決勝戦だという気迫で挑んできた」という東南アジア王者に対し、立ち上がりの主導権を奪われてしまった。
マレーシアは4-4-2の日本に対して運動能力の高い3トップでビルドアップに圧力をかけ、ボールを運ぶ部分でもしばしば巧みなプレーを披露。「相手の迫力に圧倒されてしまった」(福井)日本にとってはややもどかしい時間が続いたが、守備のスライドを修正し、相手のアンカー脇にできるスペースをうまく使えるようになると、徐々に試合のペースを取り戻す。32分には大迫のスルーパスから抜け出した内藤がシュートを放ち、GKがこぼしたところに鈴木大が詰めるビッグチャンスを作り、アディショナルタイムにも楢原がセットプレーのカウンターから決定機を迎えるが、いずれも相手DFの体を張った守備にも阻まれてゴールを奪えなかった。
そんな試合は思わぬ形で動き出す。後半15分、大迫が相手DFとGKの間に入れたロビングのパスに抜け出してきた楢原に対し、マレーシアのGKが跳び蹴りのような形で足を入れ、二人が激しく接触。このプレーでマレーシアGKシャラニには即座にレッドカードが提示されたが、楢原はそのまま動けず、担架で退場となってしまった。
このプレーで得たペナルティーキックを大迫が冷静に沈めて日本が先行することとなったが、「凄まじい気迫だった」と森山監督が感嘆したように、一人減ったマレーシアがここから猛反撃を見せる。リスク覚悟で日本のボール回しにプレッシャーをかけてしばしばボールロストを誘発。後半23分に高い位置でのインターセプトから作った決定機はGK松原の判断良い動きからの好セーブでしのいだものの、試合の流れはマレーシアへ傾いてしまった。
「一人多いがゆえに『ゆったり回そう』とばかりになってしまい、変なところで引っかかるシーンが多くなっていた。それに90分ゲームをやったことのない選手が多い中、炎天下での試合でもあり、足が動かなくなる選手が出ていた」(森山監督)
後半27分、やや不用意な形で与えてしまったPKから失点を喫すると、37分には今度はCKからドンピシャのヘッドを決められてしまい、1-2とまさかの逆転を許してしまう。足がつったCBの杉田を交代した直後の失点だった。まさかの敗退もちらつく展開となる中で、ただここから日本の選手は逞しさを見せた。「逆転されたあとも自分たちならやれると思えたし、焦ってはいなかった」と福井は言う。
「正直キツかった」(福井)という肉体に鞭を入れつつ、日本の選手たちは反撃を開始。守りに入って圧力の薄くなったマレーシアを攻め立てる。森山監督も肉体的に限界だった左SB植田を下げる代わりに、本来攻撃的MFの山崎太新(横浜FCユース)を投入。リスク覚悟の攻撃布陣で同点ゴールを狙った。
この姿勢が実ったのは後半アディショナルタイム。左サイドを北野とのコンビネーションプレーで破った山崎のクロスに対し、中央ニア寄りに位置取りした内藤が見事なヘディングシュートを合わせて流し込む。「本当にうれしかった」と安堵の声を漏らしたGK松原の感想は恐らく全員に共通するもので、この得点で日本は辛くも勝ち点1を確保。グループ1位での予選突破を決めた。
「負けたまま終わるのと、最後の最後で追い付いて終わるのとでは天と地の開きがある」と振り返った森山監督は選手たちの粘り強さを讃えつつ、「第1戦、第2戦と大差の試合になっていたので、第3戦で『このままじゃあダメだぞ』と思える試合になったのはかえって良かった面もある」と総括した。
また「途中で足つって交代して、悔しくて泣いている選手もいたし、山崎は10番なのにこの大事な試合でスタメンを外された悔しさを、ピッチに立った瞬間から表現してくれた。選手たちはとてつもない刺激を得られたと思う」と、ここで得た刺激を糧にした選手たちが、より向上心を強め、次にまた代表で集まったときに、その成果を見せてくれることを期待していた。
チームはいったん解散となるが、今後はここまでなかなか組めていなかった海外遠征も含めた強化日程をこなし、来年秋に予定されているAFC U-16選手権2020(U-17W杯予選を兼ねる)へ備えていくこととなる。
(取材・文 川端暁彦)
22日、AFC U-16選手権2020予選グループJの第3戦がラオスのビエンチャンの国立競技場で開催され、U-15日本代表はU-15マレーシア代表と対戦。東南アジア王者を相手に激しい攻防戦となり、一時は1-2とリードを奪われたものの、後半アディショナルタイムのゴールで引き分けに持ち込み、グループ首位での予選突破を果たした。
第2戦でマレーシアがラオスに敗れる驚きのジャイアントキリングがあったグループJ。このため、マレーシアはこの試合に勝つしかない状況だった。ただ、森山佳郎監督のマレーシアへの評価は一貫して高く、「オーストラリアに3-0で勝っているチームだし、非常にタフなチームだと思っていた」と言う。日本は「これが決勝戦だという気迫で挑んできた」という東南アジア王者に対し、立ち上がりの主導権を奪われてしまった。
マレーシアは4-4-2の日本に対して運動能力の高い3トップでビルドアップに圧力をかけ、ボールを運ぶ部分でもしばしば巧みなプレーを披露。「相手の迫力に圧倒されてしまった」(福井)日本にとってはややもどかしい時間が続いたが、守備のスライドを修正し、相手のアンカー脇にできるスペースをうまく使えるようになると、徐々に試合のペースを取り戻す。32分には大迫のスルーパスから抜け出した内藤がシュートを放ち、GKがこぼしたところに鈴木大が詰めるビッグチャンスを作り、アディショナルタイムにも楢原がセットプレーのカウンターから決定機を迎えるが、いずれも相手DFの体を張った守備にも阻まれてゴールを奪えなかった。
そんな試合は思わぬ形で動き出す。後半15分、大迫が相手DFとGKの間に入れたロビングのパスに抜け出してきた楢原に対し、マレーシアのGKが跳び蹴りのような形で足を入れ、二人が激しく接触。このプレーでマレーシアGKシャラニには即座にレッドカードが提示されたが、楢原はそのまま動けず、担架で退場となってしまった。
このプレーで得たペナルティーキックを大迫が冷静に沈めて日本が先行することとなったが、「凄まじい気迫だった」と森山監督が感嘆したように、一人減ったマレーシアがここから猛反撃を見せる。リスク覚悟で日本のボール回しにプレッシャーをかけてしばしばボールロストを誘発。後半23分に高い位置でのインターセプトから作った決定機はGK松原の判断良い動きからの好セーブでしのいだものの、試合の流れはマレーシアへ傾いてしまった。
「一人多いがゆえに『ゆったり回そう』とばかりになってしまい、変なところで引っかかるシーンが多くなっていた。それに90分ゲームをやったことのない選手が多い中、炎天下での試合でもあり、足が動かなくなる選手が出ていた」(森山監督)
後半27分、やや不用意な形で与えてしまったPKから失点を喫すると、37分には今度はCKからドンピシャのヘッドを決められてしまい、1-2とまさかの逆転を許してしまう。足がつったCBの杉田を交代した直後の失点だった。まさかの敗退もちらつく展開となる中で、ただここから日本の選手は逞しさを見せた。「逆転されたあとも自分たちならやれると思えたし、焦ってはいなかった」と福井は言う。
「正直キツかった」(福井)という肉体に鞭を入れつつ、日本の選手たちは反撃を開始。守りに入って圧力の薄くなったマレーシアを攻め立てる。森山監督も肉体的に限界だった左SB植田を下げる代わりに、本来攻撃的MFの山崎太新(横浜FCユース)を投入。リスク覚悟の攻撃布陣で同点ゴールを狙った。
この姿勢が実ったのは後半アディショナルタイム。左サイドを北野とのコンビネーションプレーで破った山崎のクロスに対し、中央ニア寄りに位置取りした内藤が見事なヘディングシュートを合わせて流し込む。「本当にうれしかった」と安堵の声を漏らしたGK松原の感想は恐らく全員に共通するもので、この得点で日本は辛くも勝ち点1を確保。グループ1位での予選突破を決めた。
「負けたまま終わるのと、最後の最後で追い付いて終わるのとでは天と地の開きがある」と振り返った森山監督は選手たちの粘り強さを讃えつつ、「第1戦、第2戦と大差の試合になっていたので、第3戦で『このままじゃあダメだぞ』と思える試合になったのはかえって良かった面もある」と総括した。
また「途中で足つって交代して、悔しくて泣いている選手もいたし、山崎は10番なのにこの大事な試合でスタメンを外された悔しさを、ピッチに立った瞬間から表現してくれた。選手たちはとてつもない刺激を得られたと思う」と、ここで得た刺激を糧にした選手たちが、より向上心を強め、次にまた代表で集まったときに、その成果を見せてくれることを期待していた。
チームはいったん解散となるが、今後はここまでなかなか組めていなかった海外遠征も含めた強化日程をこなし、来年秋に予定されているAFC U-16選手権2020(U-17W杯予選を兼ねる)へ備えていくこととなる。
(取材・文 川端暁彦)