第2節以来となるシーズン3点目を決め、歓喜する中村。だが前半の終盤に一発レッド食らってピッチを去る羽目に。(C) Getty Images

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 オランダで研鑽を積むサムライ戦士が、思いもよらぬ形で脚光を浴びた。 現地時間9月15日、エールディビジの第6節が行なわれ、トゥベンテは敵地でフォルトゥナ・シッタルトに3−2と競り勝った。この試合で6試合連続のスタメン出場を果たしたのがトゥベンテのFW中村敬斗。16分に味方のロブパスに抜け出して、第2節のフローニンヘン戦以来となるシーズン3点目をゲットすると、24分にはハビア・エスピノーサの追加点をアシストしてみせた。 しかし、前半終了間際にまさかの事態に見舞われる。アディショナルタイム2分に果敢なスライディングタックルを仕掛けたところ、このプレーがVAR検証の末にファウルの判定となり、なんとレッドカードが提示されてしまったのだ。 この中村の退場判定にトゥベンテのテクニカル・ディレクターを務めるテッド・ヴァン・レーベン氏は、地元紙『Tubantia』の取材に対して持論を展開。「VARは状況をなにも把握していなかった。ピッチが滑りやすい状況にあり、多くの選手がスリップしていただろ。ジャッジを担う人間の誰ひとりとしてその事実を理解していない」と怒りを露にし、こう続けた。「フォルトゥナ側にはケイトよりも悪質なタックルはたくさんあったし、少なくとも我々は2度のPKを得ていたはずだ。あの判定には失望しているし、VARはサッカーの死を意味すると思う」


 また、地元紙『Tubantia』が実施したアンケート調査によれば、60パーセントが「イエローカードで十分だった」と回答。次いで22パーセントが「なにも悪いことはしていない」とし、「正しいジャッジだった」と答えたのはわずか18パーセントだったことが明らかになった。 ではなぜ、中村は退場となったのか。レッドカードを若き日本人FWに突きつけたデニス・ヒグラー主審は、試合後にオランダの『Fox Sports』で該当するプレーの危険性を指摘した。

「彼は完全にスパイクの裏を見せており、タックルのスピードも速かった。まさに典型的な足を壊しにいく当たり方だった。もちろん、議論になることは理解できる。スピードがもう少し遅かったり、足を伸ばしていなければ違った結果になっていただろう。だがこのケースでは、残念ながらレッドカードだ」

 故意ではないにせよ、早い時間帯に一発退場という処分を食らってしまった中村。残念ながら自身の1ゴール・1アシストという素晴らしい結果をもかすませてしまった。構成●サッカーダイジェストWeb編集部