多部未華子が演じる「堅物経理女子」、これぞ令和のオフィスドラマ
異色の主人公は経理女子?
「メーカーの経理女子が主人公という、これまであまり見たことのないお仕事&恋愛ドラマです。
不器用ながらも仕事に几帳面という堅物の主人公・森若沙名子役を、多部未華子さんが見事に演じてくれています。しっかり者だけど魅力的で恋に奥手。さまざまな顔を見せる沙名子役を演じられるのはどなたかを考え、たどり着いたのが多部さんでした」
こう話すのは、管原浩制作統括。原作は、青木祐子の同名小説。
原作のタイトルのインパクトに惹かれたというAX-ON(アックスオン)の戸谷志帆梨プロデューサーは、映像化にあたっての決め事を明かす。
「まず、沙名子をスーパーキャラクターにしないこと。沙名子は優秀だけど、すごくスキルを持っているわけではない。地味でまじめで、公私混同が嫌いな普通の女性です。そして、沙名子に領収書を提出する問題社員たちも完全な悪者にしないという点もこだわりました。ささやかな日常での沙名子の小さな活躍を丁寧に描いています」
仕事でカッコいい瞬間を描きたかった
沙名子が“これは経費で落ちません!”の決めゼリフで問題社員を一刀両断する勧善懲悪ドラマではない。状況に応じ、沙名子は経費で落ちることを伝えたり、経費として請求するようアドバイスする。リアリティーのある人間模様に共感する人が多いという。
「日ごろ働いていても、決めゼリフなんてないですよね。でも、仕事でカッコいい瞬間ってあると思うんです。そこを描きたかった。
視聴者の方には沙名子の本質的なカッコよさ、可愛らしさをわかっていただけているようで、うれしいです。沙名子のようにスポットライトのあたりにくい場所でもまじめに働くことが、ささやかでも誰かのためになっているのではないかと思います。今作が、まじめに働く方へのエールになればと思います」(戸谷P、以下同)
沙名子に恋心を抱く営業部の山田太陽役の重岡大毅をはじめ、キャスティングにもこだわった。
「山田太陽は、天真爛漫だけどバカではない。それを笑顔で表現できる方と思い、重岡さんにオファーしました。
経理部員は原作のイメージに忠実にと考え、経理部長は吹越満さんにお願いしました。原作では経理部長と営業部長は同期で犬猿の仲ですが、ドラマでは大学の先輩後輩で犬猿の仲という設定に変え、角田晃広さんにお願いして、コミカルな対決になっています。原作で営業部長は、吉村と姓だけですが、ご相談した青木先生が、角田さんに“期待とリスペクトを込めて”と、角田さん自身の名前を吉村につけてくださいました」
沙名子に訪れる変化
仕事とプライベートをしっかり分けたい沙名子は、太陽からのアプローチだけでなく、経理部の飲み会、後輩の誘いも断りがち。
「セリフだけ見ていると、沙名子は堅いだけの人物に見えるんです。でも、多部さんは決してアンドロイドっぽくならず、ちゃんと女性らしい柔らかい物腰を残し、絶妙の匙加減で沙名子を演じてくださっています。
脚本を読んで堅い印象になりすぎてしまうのではと思い、中島悟監督に相談に行ったことがあるんです。でも、監督が“多部さんなら大丈夫”と。難解な金額のセリフも含め、ほとんどNGもなく、本当にすごいと思います」
場面が変わるときにしばしば登場する、セリフの黒テロップ。沙名子は青、後輩はオレンジ、先輩は黒と、デスク周りがそれぞれのイメージカラーによって違うのは、今作らしいこだわりポイント。
問題社員の難あり請求書の不明点を解き明かしていく1話完結型だが、物語中盤に入り、大きな変化が。
「“経理の森若さん”で通っている沙名子の内面が徐々に明かされていきます。キーマンとなるのは、欠員が出ていた経理部に新たに加わる女性経理部員。この人物が沙名子の仕事、そして恋愛にも大きな変化をもたらします。
問題社員たちの生き方や本音、そして“何事もイーブンに生きる”がモットーの沙名子の変化を、この先もお楽しみください」(管原制作統括)
沙名子ファッションが変化
地味でまじめな沙名子だが、ファッションにはこだわりが。「沙名子に(私服で)何を着せるかはとても迷いました。“経理部の森若さん”だとブラウスにスカート、またはパンツのイメージですが、ワンピースやスカートも着ています。甘い感じにならないよう、寒色系が中心なのですが、太陽との関係が変わってくることで、テイストを変えています。ピンク系の色、女性らしいジャンパースカートや柔らかい素材を使った服装も登場します。ハッキリ変わるというより微妙な変化なので、注意深くチェックしてください(笑)」(戸谷P)