『劇場版 ファイナルファンタジーXIV 光のお父さん』
坂口健太郎インタビュー

坂口健太郎

本作は、息子である事を隠して父とオンラインゲームをプレイする日々を綴り、累計アクセス数が1,000万を超えるブログを原作に、スクウェア・エニックスの全面協力を得て映画化。息子が父親の本音を知るために計画した、一風変わった親子の感動作。

映画ランドNEWSでは、父・岩本暁役の吉田鋼太郎とW主演を務める坂口健太郎(息子・岩本アキオ役)に、作品の魅力や役作り、父親とのエピソードについて話を伺った(取材・文:矢部紗耶香/撮影:ナカムラヨシノーブ)。

──実話が基のブログからはじまり、書籍、ドラマ化、そして映画化となった今作ですが、どのような想いで作品に臨まれましたか?

坂口健太郎

坂口:お話をいただいてから台本を読んだのですが、パートナーである父親とはほぼセリフのやり取りがなく、ゲームパートもたくさん書いてあって、「どんな作品になるんだろう・・・?」と、初めは完成図がわからなかったんです。最初は距離があって、なかなか会話ができず、どんなことを考えているかわからないお父さんと、ゲームを通じてコミュニケーションをとっていって、少しずつ関係性を深めていくところにすごく惹かれましたね。

──坂口さんが演じたアキオという役は、どのように膨らませていきましたか?

(C)2019「劇場版 ファイナルファンタジーXIV 光のお父さん」製作委員会 (C)マイディー/スクウェア・エニックス

坂口:台本を読んで、自分なりにアキオのキャラクターを解釈していたんですが、吉田鋼太郎さんとのセリフのやり取りがないからこそ、現場に入ってから探り探り作っていったという感じでした。暁(吉田鋼太郎)と自分の中での父親像はどうしても違うから、どこまでの距離感があるのかとか、話しかけられないのはどんな感情があるからなのかとか、お芝居をしてみないとわからない部分もあったので。

──アキオは等身大の男性の役でしたが、演じる上での難しさはありましたか?

坂口健太郎

坂口:衝撃的な役も簡単ではないですが、身近じゃないからこそ、ラインをどれだけ逸脱できるかみたいなところはあったりするんですよね。僕はどちらかというと、どこか等身大で、日常にいそうな感じの役を演じることがよくあるんですが、10人いたら10人の日常があるし、10人の想いがあるだろうから、そこの良い塩梅をとるのってやっぱり難しいなと思います。

──坂口さんが演じる等身大な役は、いつも共感しやすいというか、すごく身近な存在に感じます。

坂口:それは嬉しいです。初めは、役の名前は覚えてもらえても、“坂口健太郎”という存在は忘れてもらえるくらいが良いと思っていたんです。僕に色がついてしまうと、“坂口健太郎”感が強くなってしまう気がしていたので、「名前なんて覚えてもらわなくていいよ」くらいの感じで。でも、どんどん色々な作品に呼んでいただけるようになって、いろんな役をやらせてもらっているからこそ、どこか身近でいようとは思っています。演じる役に対して自分自身が寄り添うというか、近い存在でいたいなっていうのはいつも思っています。

──そういった役との向き合い方が、俳優としての坂口さんの魅力なのかも。

坂口:僕はどこかで「演じる役を理解したい」と思っているんですけど、映画『模倣犯』の時は、どうしても役への理解が出来なかったんです。でも、その「“理解が出来ない”が“出来ている”ってことなのかな」とも思いました。理解が出来ないってことは、理解しようと試みた結果でもあるので、それがこの役の正解なのかもしれないなって。

──今回のように理解しやすい役の方が、正解を見つけるのが難しいのかもしれないですね。

坂口:寄り添ってはいるんですが、役とはあえて距離をとっていたいので「僕はもう100%アキオだ!」と思っちゃうと、それはエゴになってしまっている気がするんです。姿を変えることは絶対にできないから、役の近くにはいたいけど「そのキャラクターになりすぎないように」とは思っています。

──セリフでのやり取りが少ない今回の現場で、今までと違ったことや新たな発見などはありましたか?

坂口健太郎

坂口:今までは、目で見て相手の声を聞いて、聞いたものに僕が反応して…という感じで、自分が持っていった役に色がついていくんですが、今回は“声”がなかったんですよね。鋼太郎さんが演じる役との交流・会話がないからこそ、現場に入ってのキャラクター作りも今までとは違いましたね。

──具体的にどのような部分でそう感じましたか?

坂口:まず、目線がスッと合う瞬間があまりないんです。僕は背中を見ていたり、目を合わせずに父親が動いているさまをどこかで感じていたりとか、直接的ではないもので拾っていかなくてはいけなかったので。振り返れば、鋼太郎さんが演じている父親の行動にすごくアンテナを張っていたと思います。

相手の役者さんに合わせることもあるんですが、全く喋らない役とか、すごく険悪な関係性でお芝居をしなければならない時も、カメラが回っていない所では喋りたいんですよね(笑)。そうすると、もっと相手のこともわかるし、喋らない芝居がより深くなるというか。今回クランクインした日も、鋼太郎さんとは全然喋らないシーンだったんですが、カメラが回っていないところではすごく話をさせてもらいました。だからこそ、カメラが回った時に喋らないことができる感じもあって。

──どんな話題を?

坂口健太郎

坂口:食とかお酒の話題が多いですね。飲みに行くことや、美味しいものを食べることが好きなので。小説を読むことも好きなんですが、本はそれぞれ好みがあるじゃないですか。もちろん食べ物にも好みはありますけど(笑)「美味しい」という感覚は共通していることなので。一緒にゴハンを食べに行ったり、お酒を飲みながら話すことが好きなので、「食べ物は何が好きですか?」「お酒は飲みますか?」と話すことが多いです。

──食事やお酒は距離も縮まりますよね。吉田鋼太郎さんとはご一緒できましたか?

坂口健太郎

坂口:行きました!鋼太郎さんもお酒が好きなので。僕、“縁”を信じるというか、大事にしているので、今回こうして父と子の役で作品を一緒にやることになったのも“縁”だなと思って。あと、ゴハンを食べたりお酒を飲みながらの会話って、結構重要だったりするんですよね。

──気付いたら深い話をしている時もありますよね。では最後に、坂口さんご自身の父親とのエピソードを教えてください。

坂口健太郎

坂口:車ですね。父親とは大学の時によく車に乗って食事に行ったり、買い物に行ったりしていました。学生の頃より大人になってからの方が色々わかりあえるというか、歳を重ねてきてからの父親像の方が美しい感じがします。

──素敵なお話ありがとうございました!

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『劇場版 ファイナルファンタジーXIV 光のお父さん』は6月21日(金)よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国公開

(C)2019「劇場版 ファイナルファンタジーXIV 光のお父さん」製作委員会 (C)マイディー/スクウェア・エニックス

スタイリスト:檜垣健太郎(little friends)
ヘアメイク:廣瀬瑠美
取材・文:矢部紗耶香/撮影:ナカムラヨシノーブ

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