HRテックの市場規模は拡大しており、新たなサービスが次々とリリースされている。最新のHRテックサービスを提供している企業に取材を行った。

 採用が困難な現状において、従業員の定着に有効な360度評価を導入している企業は増えているが、活用し切れていないケースも多い。

 シーベース社が提供する「スマレビfor360°」は、クラウド型の360度評価支援システムで、大企業を中心に200社以上に導入されている。

 同システムは、評価から行動改善計画シートへの記入、日常業務における実践、360度評価の再実施、経年分析までを一気通貫で行うことが可能で、組織の可視化だけでなくその先の問題解決までを支援することで、360度評価をより効果的に活用できる。また、多言語に対応しており、国内拠点だけでなく海外拠点でも利用することが可能だ。

 同社では、離職リスクを可視化し、従業員の定着を促進させるクラウド型離職率改善サービス「スマレビforリテンション」も提供している。今後、二つのサービスを連携させ、さらに従業員の定着に役立つサービスとして提供していく予定。 従業員のエンゲージメントを向上させるには、他者からの承認や賞賛が効果的だが、他者の成果は見えづらいのが現状だ。

 Unipos社が提供する「Unipos」は、日常的に同僚から感謝の気持ちとして送られる少額のボーナスであるピアボーナスを簡単に実現するサービスだ。

 例えば、営業担当者が経費処理を行う経理担当者に対し、感謝のメッセージと共にピアボーナスを送る。こうすることで、経理担当者のモチベーションがアップし、従業員のエンゲージメントの向上が見込める。投稿はすべてオープンなタイムラインに共有されるため、今まで知り得なかった他部署の従業員の貢献をオンタイムで知ることができ、拍手機能で誰でも賞賛に賛同することができる。

 導入企業では、部署内外問わず従業員同士のコミュニケーションが活性化され、自社の事業やサービスに対して誇りが生まれ、組織風土の変革にもつながっている。 チームでの成果を上げるためには、まずチームの現状を見える化し、その結果から自発的に行動を生み出すことが必要だ。

 ヒューマンバリュー社が提供する組織変革プロセス指標「Ocapi」は、チームの状態を可視化するアンケートツール。従業員にパソコンやスマートフォンからアンケートに回答してもらうことで、現状のチームの関係や思考、行動の質を項目ごとに数値化した結果レポートが出力可能。

 同サービスの最大の特長は、結果を示すだけではなく、レポートを元にチーム内で話し合うための会議進行用スライドも併せて提供している点で、結果を基に次の自発的なアクションに確実につなげることができる。回答者一人あたり一回500円と低価格で実施可能で、利用者数はすでに6万人に達している。

 導入企業からは、話し合いが元々少なかったチーム内でメンバー同士の対話が増え、自発的な行動が生まれたなどの声が集まっている。 新卒採用競争はますます激化しており、採用の無駄な手間を省いた効率的な採用活動が求められている。

 日本データビジョン社が提供する「TAIS」は、企業の新卒採用力を強化するツールだ。同サービスの革新的な部分は、合格可能性の高い層に絞って進捗管理ができる点だ。ビッグデータをAIが分析し、学生の属性や自社に合うかを判断することで、合格可能性をランク付けして獲得すべき学生を可視化することができる。

 これにより自社のターゲットとなる学生を効率的に抽出することで、合格可能生の低い学生の各選考参加数を減らし、採用の手間を省くことができる。また、合格可能性の高い学生に対し、AIを用いて構築した最適な採用フローに基づいて、個々人にあったアプローチを行うことで選考進捗を向上させることができる。