猛暑での水分補給 水やお茶よりも経口補水液がお薦め

写真拡大

経口補水液は画期的な飲料水 コレラの患者など多くの命を救ってきました。


 東葛クリニック病院副院長の秋山と申します。専門は消化器外科です。今回は「猛暑で不可欠なのは経口補水液」について綴らせて頂きます。

 連日猛暑が続いています。特に都心においてはアスファルトの熱を保持する力が大きいため、太陽の熱をため込んで気温はどんどん上昇します。熱中症予防のために水分補給はこまめにしなければいけません。

 水分は人間に不可欠です。水分が体重に占める割合は子供では70%が水分、成人では60%、高齢者では50%と言われています。気温が上がると体内に貯蔵している水分が少なくなります。高齢者は体内に占める水分の割合が低く、免疫力も若い頃より落ちるので外部環境からの影響を受けやすいので脱水になりやすいです。

・合わせて読みたい→
定年退職後の引きこもりは危険 要介護認定の発生リスクが高い(http://cocokara-next.com/lifestyle/kazuhiroakiyama-serialization-04/)

 ただ水分と言っても、何を補給するかが非常に重要です。発展途上国で子供が脱水症状で亡くなる悲しいニュースを耳にします。急性腸炎の状態では、お茶や水を飲んでも大腸からの吸収できないのです。効果的なのは食塩とブドウ糖を混合して水に溶かした「経口補水液」です。この経口補水療法は世界保健機関(WHO)が考案したものですが、途上国の急性下痢症による乳幼児死亡者数を激減させました。糖と食塩を水分と同時に与えることで通常使われる大腸からではなく、小腸から水分を補給することが可能になります。

 経口補水液は画期的な飲料水でコレラの患者など多くの命を救ってきました。重度の脱水症状は病院で点滴を受けたほうが良いのですが、中等度までの脱水では経口補水液が大変有用ですので、ご家庭での常備をお勧めします。現在、複数のメーカーから経口補水液が販売され、ドラックストアー等で購入できます。暑い日が続きますが、熱中症に細心の注意を払って過ごしましょう。

※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

秋山 和宏(あきやま・かずひろ)

医療法人財団松圓会 東葛クリニック病院 副院長・消化器外科部長
一般社団法人 「チーム医療フォーラム」 代表理事、多摩大学大学院 医療・介護ソリューション 研究所フェロー
<経歴>
90年  防衛医科大学校卒業
    東京女子医大消化器病センター外科勤務
99年  東葛クリニック病院(千葉県松戸市)外科勤務
07年  多摩大学大学院経営情報学研究科卒業
09年  現職

医学博士、MBA(経営学修士)、社会起業家
元日本外科学会専門医、元日本消化器外科学会専門医、
日本静脈経腸栄養学会学術評議員・代議員、日本褥瘡学会評議員
日本ウオーキング協会 ヘルスウオーキング指導士

<専門分野>
チーム医療、NST(栄養サポートチーム)、褥瘡
<著書>
「医療システムのモジュール化―アーキテクチャの発想による地域医療再生」(白桃書房)