東大首席の弁護士が教える「自分から勉強する子」にさせる夏休みの習慣
「東大で首席になるような人は生まれつき頭のデキ=地頭が違う」と思っていませんか? 実はその地頭は勉強習慣でつくられるものだったんです。自然と伸びていく子どもが育つメソッドを「東大首席」で卒業した、山口真由さんに教えてもらいました。
子どもをうまくのせてやる気にさせるには
「勉強しなさい!」「宿題を終わらせなさい!!」─毎日毎日、同じことを言わせる子どもにイライラ。テストではケアレスミスの多さにまたイライラ……。「この先もずっと叱り続けなければいけないの?」と悩んでいる人も多いのではないでしょうか。
でも、大丈夫。きちんとした習慣さえ身につけさせれば、“言われなくてもやる子”に育っていくのです。
「私は“勉強しなさい”といったことを、親から言われたことはありません。共働きで忙しかったこともあり、自分のことは自分でやるのが物心ついたときから当たり前で、勉強するのも受験するのも自分の意思で決めてきました。でも、振り返ってみると、うまく両親に誘導されていたと思います」(山口真由さん)
ガミガミと叱るよりも、自分で決めさせることが大切。とはいえ放っておいても自発的に勉強を始めるわけではありません。自分で決めたように感じさせる。それこそが親の腕の見せどころなのです!
まずは親子で毎日の生活から見直しましょう!
規則正しい生活で勉強習慣を身につけさせる
「うちはとても規則正しい生活をしていました。そのため、勉強する時間も否応なく決まり、結果的によかったと思っています。起床、食事、就寝といった生活の時間割の中に家庭学習も組み込むことで、勉強も習慣になっていくからです。そのためには毎日同じリズムで規則正しく生活する必要があるのです」(山口さん)
山口さんの家では就寝時間が遅くならないよう、夕飯は18時から18時半と決められていました。17時まで働いていたお母さまは前日の夜か当日の朝に夕食の下準備をすませていたそうです。
「日常生活のルーティンが身につくと、勉強など決めたことをやらないと違和感を覚えるようになってきます。これが習慣づけです」(山口さん)
時間がかかっても自分のことは自分でさせる
規則正しい生活を送るためにも、また、将来の受検に備えるためにも健康な身体を維持することはとても大切です。
「例えば、寝るのが遅くなり睡眠不足になると、朝ご飯があまり食べられず、学校での集中力が続かないなど、不調は1日中続きます。規則正しい生活は健康な身体づくりの第一歩、睡眠は最低6〜8時間はとり、早めに就寝するようにしましょう。そして、バランスのいい食事を心がけることも大切です」(山口さん)
自発性を身につけさせるためには、自分のことは自分でやるようにすることも大切。
「勉強を教えていたころ感じたのは、とても過保護な親が多いということ。例えば、子ども本人はやるべきドリルがどこに置いてあるかさえわからず、親御さんが用意する。いつも親がかりで何かをするくせがつくと、自分で考える力が失われてしまいます。自分の生活まわりのことは自分でする。これを当たり前にしましょう」(山口さん)
ルールはまず親が守る
もちろん、すぐに何でもできるようにはなりません。しかしやり方を教え、一緒にやってみたら、次からはひとりでやらせる。できるようになるまではきちんとできているか観察をして、できなかったところを教えてあげる。それを繰り返しているうちに必ずできるようになります。
「一時的に手間がかかっても、自分でやる習慣をつけてあげてください」(山口さん)
子どもにルールを守らせるためには、親も約束は絶対に守るという姿勢が大切。
「約束したら相手が誰であれ必ず実行するということは、親の態度から学ぶもの。週末に一緒に出かける約束をしたら、どんなに忙しくても守りましょう。逆に守れない約束はするべきではないと思います。
どんなにささいなことでも、誰かと取り決めたことを、“まっ、いいか”と反故にする姿を見せておいて、子どもに“ルールを守れ”と言ってもそれは無理です」(山口さん)
子どもの就寝時間を決めているのに、自分はママ友の食事会が長引いてうやむやにしてしまうなんてこと、していませんか? 子どもの生活を正すためには親の姿勢が重要なのです。
男の子と女の子は勉強面でどんな違いがある?
「男の子はめんどくさがりで計算問題の検算をするとか、漢字を何度も書いて覚えるという手間のかかることを嫌がります。しかし、そこで叱っては逆効果。検算をしなくてテストで間違えたら、“本当は〇点多く取れたはずなのに、もったいない! やればできるから頑張って”“1回でここまで理解してるなら、もう1回頑張ればすぐ覚えるよ!”と、褒めてやらせるのが正解。子どももやる気になります。
女の子の場合はまじめだけど、融通がきかない面が。1度順番を決めたからと、優先順位が低いものから始めていたり、やる必要がないことを続けていたりします。この場合も、“何いつまでやってるの!?”と頭ごなしに言うのではなく、“あのときはこういう状況だったからやったほうがよかったけど、今は違うからやらなくていいのよ”というように、気づかせてあげると、一歩前に進むことができます」(山口さん)
家族全体の生活習慣が「勉強する子」が育つかどうかを左右します。親も一緒に自分の生活を見直してみるいい機会になるでしょう。
山口真由さん 東大法学部を首席で卒業。大学3年時に司法試験に合格。卒業後は財務省に。退官後、弁護士として勤務。ハーバード・ロースクールに留学、修了しニューヨーク州弁護士資格を取得。現在はテレビのコメンテーターや執筆活動などを行っている。大学時代は塾講師や家庭教師も多く経験。近著に『東大首席・ハーバード卒NY州弁護士と母が教える合格習慣55』(学研プラス)