PK戦の練習は「改まってやることはない」という。写真:JMPA代表撮影(滝川敏之)

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 ロシア・ワールドカップ決勝トーナメント1回戦・ベルギー戦の前日会見が現地1日、ロストフのロストフ・アリーナで行なわれ、西野朗監督が驚きのコメントを残した。記者からのPK戦についての質問に、次のように答えたのだ。
 
「現状で一度もピッチで(PKの)トレーニングはしていません」
 
 決勝トーナメントの戦いは90分で決着がつかない場合、15分ハーフの延長戦を行なう。そこでも勝敗がつかないとPK戦だ。実際に現地1日に行なわれたロシア対スペインはPK戦にもつれ込み、ロシアがスペインから金星を挙げている。
 
 日本対ベルギーもPK戦にもつれ込む可能性はあるのだが、西野監督はあくまで「改まって(PK練習を)やっているということはないので」という。
 
 なぜ、指揮官はPKのトレーニングを取り入れないのか。理由は明確だ。
 
「あの精神状態をトレーニングのなかで作ることは不可能です。まあペナルティであればキッカーが優位に立っているのは間違いないですし、いろんな要素が絡んだあの緊張感のなかで、ボールをセットできるかできないか。そこに限っているので、あまり意味のないトレーニングだとは思っています」
 
 この発言の裏には、西野監督の矜持も含まれている。つまり、運の要素も絡むPK戦に入る前に勝負をつけたいということだ。実際に西野監督は、「明日はそこに至る前に決着をつけたいと思っています」と語っている。
 
 ポーランド戦の“時間稼ぎ”によって、今の日本代表には国内外から様々な批判の声が上がっている。決勝トーナメントでは西野監督の狙い通りにきっちりと勝負を付け、ファン・サポーターを喜ばせたいところだ。