自分にとっての適材適所の実現状況を会社、職場、仕事、上司それぞれについて聞くと、「とても合っている」との回答は1割にも満たなかったことが、企業の人材育成を支援するリクルートマネジメントソリューションズ(東京・品川、藤島敬太郎社長)の調査で分かった。

 会社、職場、仕事、上司それぞれについて、その適合度をたずねたところ、「とても合っている」との回答は、会社については7.7%、職場については7.9%、仕事については8.5%、上司については5.9%だった。

 中でも、上司との適合度が最も低く、積極肯定群(「とても合っている」「合っている」の合計)は会社(32.7%)、職場(35.3%)、仕事(34.5%)に対しては3割を超えるのに対して、上司に対しては23.6%と2割強だった。

 上司との適合度は「どちらかといえば合っている」を加えても6割強(63.4%)にとどまり、3人に1人は上司と自分は合っていないと考えているようだ。

 適材適所のために重視しているものを聞くと、一般社員・管理職ともに重視度が高かったのが「人間関係の良い職場」「希望する年収、給与」「希望する働き方」だった。

 管理職の方が高かった項目は、「自分のやりたいことに合っている」「自分の成長につながる」「周囲から必要とされる」「ビジョンや理念に共感できる経営者」「社会的に意義のある事業や仕事」の5項目だった。

 本人にとって適材適所の障害となっていることを聞くと、約4割(40.4%)が「異動は会社要請で決まる」と認識しており、最も高い選択率となった。

 次に多く選ばれていたのは「個人の意志を反映できる制度がない」(19.3%)、「異動希望を出しても経営・人事が実現してくれない」(15.4%)だった。

 管理職が部下の適材適所をどのように支援しているのかを聞くと、「部下に合った仕事の割当」(49.7%)、「部下の強みや弱みを理解」(53.7%)は積極肯定群(「とてもあてはまる」「あてはまる」の合計)が5割前後と多く行われていた。

 次いで、「部下の志向を理解」(39.3%)、「キャリアについて話し合う」(37.9%)が4割弱で続いた。

 「異動支援」まで行っているのは22.7%と2割強だった。

 ただし、上司本人のキャリア意識が高いと、「部下の強みや弱みを理解」「部下の志向を理解」「キャリアについて話し合う」といった、部下理解やキャリアに関する支援行動が多くとられていることが分かった。女性管理職にも同様の傾向が見られた。

 「不本意な異動をしてきた部下の指導・育成に苦労した」については、「ややあてはまる」も含めると33.8%と3分の2が苦労した経験を有していた。

 調査は、2017年12月、300人以上の企業に勤務している入社3年目以降、25〜49歳までの正社員を対象にインターネットで実施し、492人の回答を得た。(一般社員347人、管理職145人)