『頭がいい人、悪い人の話し方』著者は「話し下手」だった
たった1冊の本で、社会現象を巻き起こした作家たち。彼らにとってもベストセラーは大きな分岐点だった。印税を投資に回す人、まったく別の職業に就く人ーー。個性あふれる作家たちの人生を追う。
『頭がいい人、悪い人の話し方』が大ヒットした多摩大学名誉教授の樋口裕一氏(66)。
「タイトルがよかったですよね。確か(版元の)PHPの社長さんが考案したはず。編集者は反対だったらしいです(笑)。僕は20万部売れればいいと思っていたけど、関連シリーズを合わせると400万部は売れたんじゃないかな」と遠くを見るような眼差し。
これまで 300冊を上梓してきたが、意外にも「この本は自分ではいちばんいい(内容の)本だとは思っていなかった」らしい。
テレビ出演も相次いだ。
「話し方の本だからテレビ局の人も僕の話し方が上手だと思っちゃって。僕、全然上手に話せないんですよ。テレビの司会もする林修さんのようにはなれなかった(笑 )」
巨額の印税は「あんなに税金を払わされるとは思いませんでした。だから自分へのご褒美はありません」と苦笑する。
ただ「本が売れたことで、大好きなクラシック音楽の本を書かせていただけたことがご褒美だったのかな」。最近は海外旅行に夢中だそうだ。
ひぐちゆういち
学生や社会人に文章指導をする「白藍塾」塾長。「樋口式小論文」を編み出し、指導にあたる。著作の総計は300冊を超えている。現在、多摩大学名誉教授
(週刊FLASH 2018年3月20日号)