給与明細を見て「あれ?手取りが意外と少ない……」と感じたことはありませんか?今回は給与から引かれている税金の仕組みについてまとめました。給与から控除される税金の仕組みを理解し、自分の手取り額をしっかりと計算して、ライフプランの作成に役立てましょう!

税金の決まり方を理解するには、まずは給与の仕組みについて理解しなければなりません。給与には「支給」「控除」という、二つの大きな項目があります。

支給は、基本給に残業代や通勤手当、役職手当といった、その他の給付をプラスした額面給与のこと。対して控除とは、各種税金や健康保険、雇用保険などの保険料など、支給から差し引かれるものです。

これら差額が差引支給額、いわゆる「手取り」になります。ここでは、最低限知っておきたい税金の仕組みや計算方法についてご紹介します。所得税とは、個人の収入から所得控除を除いた、一定の税率で課税される税金のことです。年始から年末までに得た、すべての収入が所得税の対象となります。ただし、通勤手当や旅費といった、職務に必要な経費を含む一部手当は非課税となり、所得税の計算には含まれません。

所得税を算出するには、まず給与の課税所得に税率を掛けます。その後に税額控除額を引いてください。住宅ローンや扶養控除などでも控除が受けられます。計算式は、以下の通り。

所得税の金額=所得控除分を除いた収入×税率-税額控除

たとえば、課税対象の年収が500万円なら、税率が20%、控除額が42万7,500円です。その他の控除がなければ、500万円×20%-42万7,500円=57万2,500円が所得税額となります。本来所得税は、従業員本人が国に納める税金です。会社はそれを、給与から差し引くかたちで、代わりに徴収するという仕組みになっています。「源泉徴収」は、この徴収のことを呼びます。

源泉徴収は企業の義務なので、必ず行われています。所得税は毎月の給与から差し引かれますが、納税する金額は一年で得た所得で決まるもの。どうしても過不足が発生するので、そのずれを毎年12月に「年末調整」として清算するのです。給与から控除される個人住民税とは、個人が居住している地方自治体に納める税金です。「所得割」と「均等割」の大きく分けて二つの種類があり、住民税はこれらを合算することで算出できます。

所得割は、前年度の所得に応じて支払われる税金のこと。以下の計算式で求められます。

住民税(所得割)=控除分を除いた収入×税率-税額控除

標準税率は市町村民税が6%、道府県民税が4%。標準税率以外を採用している自治体もあるため、お住まいの地域の住民税率を確認しておいてください。

また、納税義務者は基礎控除として一律で33万円が控除されます。たとえば収入が500万円の場合、その他の控除がなければ課税対象となる収入は467万円。標準税率の地域に住んでいるなら、住民税(所得割)は(467万円×6%)+(467万円×4%)=46万7,000円となります。住民税の所得割が前年度の所得に応じて課税されるのに対し、均等割は所得金額に左右されず、決まった額で課税されます。いわば住民税の基本料金であるといえるでしょう。たとえば東京都では、都民税が1,500円、区市町村民税は3,500円です。

なお、地方自治体の防災対策に充てるなど、期間限定で均等割の課税が加算されるケースもあります。均等割は基本的に全員が納税するものですが、無収入や非課税の条件が揃った場合は免税になるため、確認しておくとよいでしょう。以上、給与から差し引かれる税金の仕組みをご紹介しました。何も考えずに給与明細を眺めているのと、税金の仕組みをしっかりと理解し、自分の手取りを把握するのとでは、将来設計を考える際に大きな差がつきます。

給与明細をもらったら、差し引かれている税金を確認し、ぜひ額面と手取りの差を計算してみてください。自分が働いている条件や環境を見直す、良い機会となるでしょう。