採用広報が解禁され、多くの学生が就職活動を開始した3月1日時点での内定率は8.0%となっていることが、人材サービスのディスコ(東京・文京、新留正朗社長)の調査で分かった。2月から3.4ポイント上昇しており、前年同期と比べても全体的に動きが早まっている。

 3月1日時点ですでに内定を手にしている学生は全体の8.0%となった。2月調査(4.6%)から3.4ポイント上昇し、前年同期(6.0%)を2ポイント上回っている。

 ただし、内定取得者のうち就職先を決めて就職活動を終了したのは 7.9%とまだ少数。前年同期調査で2割を超えていたのとは対照的だ。

 内定率を属性別に見ると、いずれも前年同期を上回るが、特に文系男子が大きく増え1割を超えているのが目立つ(10.4%)

【属性別 内定率】
文系男子 10.4%
文系女子 5.2%
理系男子 8.3%
理系女子 8.5%

 エントリーシートを提出した学生は全体の40.9%、筆記・WEB試験を受験した学生も4割を超え(41.8%)、面接試験受験者が36.0%に上るなど、いずれも前年同期を上回る経験率を記録している。

 一人あたりのエントリー社数の平均は22.4社。前年同期調査(26.3社)を3.9社下回り、割合にすると15%近く減少している。さらに、今後のエントリー予定社数は平均13.3社で、前年同期調査(16.4社)より3.1社少ない。

 今年のエントリーの傾向についてディスコでは、「エントリーのタイミングが遅いのではなく、絞り込みが進んだ結果だと捉えるのが妥当だろう。今年の就活生の最終的なエントリー社数は前年を下回る可能性が濃厚だ」と指摘している。

 エントリー社数を属性別に見ると、文系より理系で、より落ち込みが目立つ。

【属性別 エントリー社数、今後のエントリー予定社数】
文系男子 24.2社(前年同期28.1社)、15.5社(前年同期19.6社)
文系女子 25.4社(同28.4社)、15.0社(同17.6社)
理系男子 14.5社(同19.7社)、9.1社(同11.1社)
理系女子 23.3社(同28.2社)、11.0社(同14.2社) 志望業界を「決めている」と回答した人に具体的な志望業界を40業界の中から5つまで選んでもらったところ、「水産・食品」が最も多く(17.3%)、「素材・化学」と「情報処理・ソフトウエア」が同率で2位だった(16.7%)。

 「水産・食品」「素材・化学」を選んだ学生の割合は前年とほとんど変わらないが、前年1位だった「銀行」が5位へと順位を下げたことで順位が繰り上がった。

 銀行は文系では上位だが、男女ともポイント数が大きく下がったことと(文系男子31.0%→23.7%、文系女子25.1%→20.5%)、理系の志望者が少ないことが全体順位に影響した。

 理系は男子ではIT業界の人気が高く、女子は「水産・食品」「素材・化学」「医薬品・化粧品」が3割を超え、特定の業界に集中している。

【志望業界 上位5業界】
1位 水産・食品 17.3%
2位 素材・化学 16.7%
2位 情報処理・ソフトウェア・ゲームソフト 16.7%
4位 情報・インターネットサービス 16.4%
5位 銀行 15.3%

 調査は、2018年3月1日〜6日、2019年3月に卒業予定の大学3年生(理系は大学院修士課程1年生含む)を対象にインターネットで実施し、1258人の回答を得た。(文系男子412人、文系女子405人、理系男子288人、理系女子153人)