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無理やり性生活をさせられるのも、離婚事由やDVになりますかーー。弁護士ドットコムの法律相談コーナーに複数の相談が寄せられています。

ある相談者は、夫からDVを受けていると言います。現在では「直接蹴る・殴る」といった身体的な暴力はなくなったものの、性生活については無理強いがあるそうです。そんな時に泣いていると、「なんで泣いているの?」と罵られることも。

また、他の相談者は「最低週1回、寝込みを起こされ、ひたすら行為を数時間強要される」と嘆いています。行為後は数日間身体が痛くなるほどだそうです。「こちらの状況も理解してほしい」と何度も言いましたが、無視され続け、話し合いにならないそうです。

他にも、避妊に協力しない夫に悩む方かも相談が寄せられていました。

無理やりの行為は、離婚事由になるのでしょうか。また、夫婦間でも性行為の強要は、DVではないのでしょうか。山口政貴弁護士に聞きました。

●「性行為の強要は完全にDV」

「性行為の強要は完全にDVであり、離婚事由にあたります。また、夫婦間であっても、ひどい場合には、刑法上の強制性交罪(旧「強姦罪」)が成立する可能性もあります」

一方で、セックスレスの場合にも、離婚理由になる場合があるのではないだろうか。夫婦間の性をめぐる法律上の解釈はどうなっているのか。

「確かに夫婦の間には、性交渉を求める権利があり、正当な理由なく性交渉を拒み続けた場合には、離婚事由にもなり得ます。だからと言って、無条件に性交渉に応じなくてはならない義務があるわけではありません。

裁判例でも、夫婦間での性交渉でも強姦罪(現「強制性交罪」)が成立すると判示した事件もあります(東京地裁、平成19年9月26日)。この事例では、泣きながら性交渉を拒む妻に対し、夫が妻を脅迫し、力づくで性交渉をしていました」

●夫の行為は「DV」、離婚理由にもなる

では、今回の相談例についても、DVであり、離婚理由になると言えるのだろうか。

「相談者のケースのように、寝込みを起こされ無理やり行為を強要され、数日間も体が痛くなるような性交渉まで応じなければならない義務はありません。夫の行為はDVであり、離婚理由にもなりますし、その場合には夫が妻に慰謝料を払うことになります。

あまりにもひどい性交渉が続くようであれば、別居や離婚も視野に入れて今後を考えてみてください」

(弁護士ドットコムニュース)



【取材協力弁護士】
山口 政貴(やまぐち・のりたか)弁護士
サラリーマンを経た後、2003年司法試験合格。都内事務所の勤務弁護士を経験し、2013年に神楽坂中央法律事務所を設立。離婚、婚約破棄等を専門に扱っており、男女トラブルのスペシャリストとしても知られる。
事務所名:神楽坂中央法律事務所
事務所URL:http://www.kclaw.jp/index.html