厚生労働省が発表した毎月勤労統計調査(速報、事業所規模5人以上)によると、2017年の実質賃金は減少していることが分かった。5年ぶりに増加した昨年から一転して0.2%減となっている。

 17年の1人当たり月平均の現金給与総額は前年比0.4%増の31万6907円で、4年続けて増加した。物価変動を考慮した実質ベースでは前年比0.2%減と減少した。

 業種別に見ると、鉱業・採石業等33万3638円(前年比3.7%増)、金融業・保険業47万7334円(同2.4%増)、運輸業・郵便業34万5097円(前年比1.5%増)など9業種で増加した。

 一方、減少したのは飲食サービス業12万3948円(同2.2%減)、不動産・物品賃貸業36万1560円(同1.5%減)、複合サービス事業38万995円(同1.4%減)など7業種となった。

 現金給与額のうち、所定内給与は24万1228円(前年比0.4%増)、所定外給与は1万9565円(同0.4%増)、特別に支払われた給与は5万6114円(同0.4%増)。

 17年の1人当たり月平均の所定外労働時間は10.9時間(前年比1.0%増)で、製造業は16.2時間(同3.1%増)だった。

 同時に発表された17年12月の一人当たりの平均現金給与総額は55万1222円で、前年同月比が0.7%増となった。

 現金給与総額のうち、きまって支給する給与は0.7%増の26万2249円で、所定内給与は0.6%増の24万1908円、所定外給与は0.9%増の2万341円。特別に支払われた給与は、0.7%増の28万8973円。

 現金給与総額の前年同月比を業種別に見ると、運輸業・郵便業58万3886円(3.8%増)、学術研究等84万762円(3.0%増)、製造業71万9754円(2.1%増)、金融業・保険業90万1980円(2.1%増)などが増加し、複合サービス事業76万7874円(3.8%減)、電気・ガス業102万874円(3.1%減)、情報通信業90万5557円(1.8%減)などが減少した。

 物価変動の影響を除いた実質賃金は前年同月と比べ0.5%減で、2カ月ぶりに減少に転じた。

 12月の一人当たりの所定外労働時間は前年同月比0.6%増の11.3時間で、12カ月連続の増加となった。

 所定外労働時間の前年同月比を業種別に見ると、不動産・物品賃貸業12.8時間(10.2%増)、教育・学習支援業7.9時間(8.0%増)、学術研究等13.5時間(6.3%増)などが増加し、鉱業・採石業等11.5時間(17.6%減)、電気・ガス業12.6時間(14.4%減)、飲食サービス等5.9時間(4.9%減)などが減少した。