子を"上流"に乗せる 学閥の強い大学10選

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子供を「上流ロード」に乗せるには、なにが有効なのか。「プレジデント」(2017年2月13日号)では、子育てをめぐる13のテーマについて識者にアドバイスを求めました。第1回のテーマは「学閥」です――。

■「キミも卒業生なのか」という強力な仲間意識

大学通信常務取締役の安田賢治さんは「同じ大学出身という仲間意識から、派閥が形成されていくことはあると思います」と就職や出世における学閥の存在を認める。「たとえばある商社役員に慶應出身者が多い。このような会社では慶應卒の新入社員を採用しないわけにはいかない。それに名もなき大学から採用した人が使えなければ『なんでこんなやつを採った』と人事が責任を問われるが、役員の出身大学から採用すれば責任は問われない。このようなことから、学閥というものが醸成されていくのでしょう」。

学閥ができる理由のもう1つは、同窓会組織の存在。慶應の三田会は交詢社や東京三田倶楽部、一橋大の如水会は如水会館、筑波大学(旧東京教育大学)の茗渓会は茗渓会館という拠点を都心の一等地に構え、卒業生たちの社交サロンとしている。「このような組織で顔を合わせれば『キミも卒業生なのか』ということになり、それがきっかけで先輩に引き立ててもらえる」(安田さん)。

そこで安田さんに「学閥の強い大学トップ10」を選んでもらった。当然、1位は慶應だ。慶應は実業界に強く、上場企業の社長を多数輩出している。「慶應の同窓会組織の三田会は非常に結束が固い。同じ会社や職域のなかで慶應卒だけが集まってつくる『◯◯三田会』という下部組織もたくさんある」(同)。“幼稚舎から大学までずっと慶應”なら、なおさら結びつきが強いのもうなずける。

■官僚は開成、灘、筑駒など出身の「高校閥」を形成

2位が東大。偏差値でいえば1位だが、結束力では慶應にかなわない。「官僚はほとんどが東大出身なので、大学が同じというだけでは派閥にならない。開成、灘、筑駒など東大合格者を輩出する高校は限られているので、出身高校別の『高校閥』が形成されると聞きます」(同)。同じく偏差値の高さと卒業生たちの活躍ぶりから3位は京大がランクイン。

4位はメガバンクや商社への就職率の高さから、一橋を選んだ。一橋の卒業生からは「東大とは違う」という独特の気風がうかがわれると安田さんはいう。

5位が早稲田。「稲門会という同窓会組織はありますが、三田会ほどの勢いがないのは、卒業生に一匹狼的な気質があるからでしょう」(同)。少し前までは財界やメガバンクへの就職が少なかった早稲田卒業生だが、現在は増加傾向にあり、稲門会も活動に力を入れ始めている。もともと早稲田卒業生は教員、公務員になることが多く、地方公務員のあいだでは、ひとつの閥をつくっていそうだ。

6位は東工大。技術者として1つの会社に大量に採用されることが多いので、チームで製品開発などをするときは学閥が関係してくることもあるという。また有名企業の技術系で一定の勢力を占めているケースもある。

7位は東京理科大。理科、数学、物理の先生には同大の出身者が多いので、教育界では派閥ができている可能性がある。

8位は阪大、9位は同志社という関西勢がランクインした。「阪大の医学部は京大よりも結びつきが強いと聞きます。同志社は私学のトップというプライドもあり、関西人同士が社内外で結びついているイメージがある」(同)。同率10位が明治と中央。「明治は大企業採用者が比較的多く、愛校心が強い。法曹界に限定すれば、中央の法学部も強い」(同)。

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就職や出世において学閥の強い大学出身者は有利

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安田賢治(やすだ・けんじ)
大学通信常務取締役、情報調査・編集部ゼネラルマネージャー。1956年生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、同社入社。以来、長年にわたり教育界や学校経営を見続けてきた。
 

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(ライター&エディター 長山 清子 撮影=大泉 裕)