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東京都青梅市で2016年11月、地元の猟友会のメンバーが、許可された頭数を超えるツキノワグマを射殺していたとして、自然保護団体が警視庁青梅署に刑事告発したことがわかった。この団体が2月1日、都庁で記者会見して明らかにした。告発は1月31日付。

告発したのは、一般財団法人「日本熊森協会」(森山まり子会長)。告発状などによると、付近でクマの目撃情報が相次いでいたことから、地元の猟友会が2016年11月、都から1頭の射殺許可を受けて、メンバー9人が駆除隊として出動。このうち1人の男性がツキノワグマを射殺した。

猟友会は当初、市に「クマ1頭を射殺した」という虚偽の報告をしていたが、昨年11月に通報があり、実際は3頭(母グマ1頭、子グマ2頭)だったことが発覚した。市の調査に対して、射殺した男性は「やぶから飛び出して向かってきたため、やむを得ず発砲した」と報告している。

一方、日本熊森協会は、猟友会の関係者の証言や、母グマの解剖結果、現場となったスギ林に下草は少なくクマが隠れられるヤブがないなどの状況から、「木に登っていた無抵抗のクマ3頭を射殺していた」として、鳥獣保護法違反や銃刀法違反にあたると主張している。

●ツキノワグマは絶滅危機にある

ツキノワグマは繁殖力が弱く、東京都で絶滅危惧種とされている。狩猟等の捕殺禁止措置がとられており、許可されている頭数を超えて捕殺できない。東京都内には100頭未満が生息しているとされる。今回の問題が起きた当日も青梅市職員が現場で「子グマは撃たないように」と指示していたという。

日本熊森協会は2月1日、東京都に対して、ツキノワグマの保護体制を強化するよう申し入れた。同会の代理人をつとめる室谷悠子弁護士は、記者会見で「東京都の絶滅危惧種の保護体制が、薄弱ということに原因がある」「原則として、捕殺でなく、追い払いで対応することを徹底させてほしい」と訴えた。

(弁護士ドットコムニュース)