「国内組で戦った日本代表、E1でよかった点と悪かった点」

写真拡大

東アジアの3か国で争われたE1。開催国の日本は北朝鮮、中国には連勝したものの、韓国には手痛い敗北を喫して優勝を逃した。

国内組で挑んだ今回の戦いで、よかった点とそうでない点は何だったのか。編集部員たちに聞いてみた。

編集部O

▼よかった点

ハリルホジッチ監督は来年のワールドカップ本大会で結果を残すことしか考えていない。よって、3試合のテストマッチとして各選手の特にオプション的な能力を試すことができたのは良かった。植田直通のサイドバック起用にこだわったのもそれが理由だろう。

誰が何をどこまでできて、何が苦手なのか。23人の選考を行う上で有益な情報が得られたに違いない。

▼悪かった点

運が悪かったことといえるが、本来ここで使いたかった選手を呼べなかったことだ。クラブワールドカップに臨んだ浦和レッズの選手しかり、負傷離脱した選手しかり。

特に後者は招集されなかった山口蛍を除いても、西大伍、清武弘嗣、杉本健勇とオプションを含めた能力を見ておきたかった選手ばかり。最終選考を考えると痛手だ。

編集部S

▼よかった点

選手、監督、スタッフ、協会、ファンの全てが「危機感」を共有したこと。

もちろん優勝できたなら最高だったが、こうした結果によってチームが奮起することに期待したい。2010年大会のチームがそうだったように、負けることで団結するケースもあるはずだ。

▼悪かった点

国内組に対して厳しい評価が下されたこと。今回の結果を受け、今の代表チームには海外組の力が必要であることが分かった。

Jリーグのファンにとって、その事実こそが結果以上に受け入れがたいものになったかもしれない…。

【次ページ】“関心度”

編集部T

▼よかった点

海外組と浦和レッズに所属する選手が不在で、なおかつ、山口蛍や杉本健勇が故障していたという理由も重なり、今大会では積極的に新戦力を試せた。

その起用法が正解であったかは疑問が残る部分もあるが、各選手の評価がある程度できた点は大きかったはずだ。今大会の結果を元にハリルホジッチが下した結論は来年3月の欧州遠征で明らかになるだろう。

▼悪かった点

今大会への関心の低さ。国内で開催される日本代表の大会は貴重なはずだが、日本国民、さらにはサッカーファンからの関心度が低かった点は否定できないだろう。

「日本のサッカーファンはJリーグを軽視している」と幾度となく評され、同時に「日本代表戦しか盛り上がらない」 と揶揄されることもあるが、そこに「Jリーグで構成された日本代表には関心が集まらない」という定説が追加された感だ。

監督やチームの不出来を論ずることも重要だが、周囲を取り巻く環境の問題点にも今一度目を向けるべきかもしれない。

編集部I

▼よかった点

右SBのオプション発見。ついに植田直通が代表デビューを飾ったが、そのポジションが右サイドだったのは驚きだった。

さすがに攻撃面では荒さが目立ったが、守備面を含めてやれる目途は立った。W杯メンバー枠を考えても、CBと右SBを兼務できることを示せたのは大きいか。

▼悪かった点

チームとしてはあまりいい側面を見せられなかったこと。急造チームではあったが、全体を通して厳しさのほうが強く感じられたのは悪かった点といえるかもしれない。

【次ページ】真剣に…

編集部K

▼良かった点

韓国戦で「実力があって真剣に来る相手と戦えた」こと。

ハリルホジッチにとって、この3試合は「ワールドカップに連れて行くメンバーの残り2〜3人を選ぶ」ためのものだったはず。

これまでにないものを得るための実験的な場であるならば、相手が本気で来ないのならどうしようもないし、あまり力の差があっても仕方ない。

その中で、韓国のような実力ある相手がしっかり勝ちに来てくれたことは大きかった。ハリルホジッチもこれを受けて考えることがたくさんあるだろう。

北朝鮮戦や中国戦が3回続いたとしたらどうだったか?今導き出されている結論とは全く違ったものになったはずだ。

▼悪かった点

それも韓国戦であろう。

相手は先日も国内組で欧州遠征をしており、チームとしての完成度は全く違うのは当然である。

健闘して0-1で負けるのならばともかく、流石に4失点してしまうと評価は一気に落ちる。

パリ・サンジェルマンに大敗したことがカルロ・アンチェロッティのバイエルン解任を決定的にしたように、サッカーは1試合で全てが吹っ飛ぶ可能性があるものだ。

日本代表にユップ・ハインケスはいるのか?いれば、解任してもいいのかもしれないが…。

編集部H

▼よかった点

なし。日本代表として、日本サッカー界として何一つ得るものがなかった…そんな辛辣な見方が一つはあってもいいだろう。個人的にはこれまでずっとハリルを擁護してきたが、韓国相手にこのような屈辱的な大敗を喫してもなお、「彼には腹案がある」などとヨイショするほどお人よしではない。

▼悪かった点

よかった点がないのだから全てが悪い。

例えばチリに革新を起こしたビエルサのように、ハリルには代表を高みに導く副産物として彼の哲学が日本サッカー全体に波及してくれることを期待した。

しかし就任から来春で3年を迎えるにも関わらず、現実はむしろ思い描いたものと逆方向に進行し始めたようにさえ思える。志しの善し悪しではなく、ハリルが日本を、日本人をどこまで深く理解しようとしているのか疑問がある。

今回のメンバーは、Jの足元を繋ぐスタイルの中で成功を収めた選手たちによる即席チームだった。そんな彼らに対し、Jとは正反対にも近い自らの理想を“強要”し、案の定失敗して恥をかかせることが、未来ある選手たちにとって「いい経験だった」と簡単に言えるだろうか。