野生アオサギにエサを分け与え24年 姫路市立動物園のタンチョウに「なんて優しい」の声
兵庫県の姫路市立動物園でタンチョウが檻の中から野生のアオサギにエサを与えていると、ツイッターなどで話題になっている。
実はこのタンチョウ、24年間も同じ行動を続けているといい、その献身ぶりに感嘆する声が上がっている。
アオサギに何度もアジを食べさす
タンチョウは、檻の外にいるアオサギを見つけると、エサのアジをアオサギに向かって放り投げたり、クチバシに挟んで金網のすき間から出したりする。アオサギは、巧みにアジをついばみ、またエサをほしそうな表情をする。タンチョウは時に、アジをつつき続けて、小さな身に千切られた状態で持っていくこともある。
タンチョウの檻の前にやって来たアオサギ(写真は、姫路市立動物園提供)
こうしたタンチョウの行動は、ツイッター上で2017年11月15日ごろに紹介され、「なんて優しいんでしょう!」などと驚きの声が上がっている。
過去の新聞報道をたどってみると、姫路市立動物園のタンチョウは、1993年8月ごろから檻の外に来る野生のアオサギにエサのアジを与える行動が観察されていた。
アオサギにエサを与える行動が見られたのは、タンチョウのつがいで、オスの翔(しょう)とメスの空(くう)。ともに、現在は30歳ぐらいで、人間なら60歳近くに当たる。
アオサギがタンチョウのヒナを見て学習?
これまでの報道によると、アオサギは、朝と夕方に毎日やって来ており、1〜3羽ぐらいいたという。別の檻に、翔と空の子供が2羽(その後、1羽は死亡)おり、親と同じ行動が一時的に見られたとの報道もあった。
タンチョウが種を超えてエサをやるのは非常に珍しいという。アオサギは、クチバシを開き、羽をバタバタさせてエサを催促することもあるといい、こうした行動はタンチョウのヒナに見られるため、専門家は、アオサギがヒナを見て学習したのではないかともみているそうだ。
姫路市立動物園の担当飼育員は17日、Jタウンネットの取材に対し、アオサギにエサをあげているのは、翔と空だとした。子供は、現在はエサをあげていないという。
この日も、正午ぐらいに翔と空にエサのアジをあげると、飼育員や客がいなくなったころを見計らって、アオサギ1羽がやって来た。翔もよくあげているが、今回は、空の方がアジをあげていた。なお、タンチョウは、もともとアジをそのまま食べず、細かくしてから食べるといい、アオサギのためにエサを千切っていると一概には言えないらしい。