杉本健勇(撮影:岸本勉/PICSPORT)

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最初に試合の感想を聞かれた杉本健勇は頭を振りつつ5秒ほど考え、「いや、悔しいです。負けたんで」と一言吐き捨てるように答えた。

だがすぐ思い直したように、投入されたときのヴァイッド・ハリルホジッチ監督からの指示について語り出す。

「点を取りに行くという……。僕が入るホント直前に失点したんで……。守備も攻撃もどっちも前からやろうという話をしました。点取るしかなかったし、点取りに行くという気持ちで入りました」

投入直後、ベルギー守備陣のミスを突きフリーの状態でペナルティエリアに突き進んだ。

「入ったところだったんで自分でシュートを打ちたかったので……まぁでも決めないといけなかったので悔しいです」

ブラジル戦では80分、ベルギー戦では73分からピッチに立った。途中交代ではあるが、それでも強豪相手に続け適用されたことは自信になったのではないか。このヨーロッパ遠征で杉本は何をつかんだのだろうか。

「なんもつかんでないです。特に」

杉本はもう一度投げ捨てるように言葉を吐き、また思い直したように冷静に語り出す。

「短い時間で結果を残さなければいけない状況で(結果を)残せなかったというところと、試合も勝てなかったので……帰ってやるしかないです」

「今日のゲームは前半もよかったですし、あの一本でやられたんで。あれは耐えなくっちゃいけないですし、最低0-0で耐えて最後に決めるというのがプランではあったんで、ちょっともったいなかったというのがあります」

普段は笑顔の多い杉本がニコリともせずに話をして報道陣の前を去って行った。このショックの大きさこそ、ワールドカップの予行演習として必要だったことに違いない。

【日本蹴球合同会社/森雅史】