CBS MarketWatchによると、米FDA（食品医薬品局）が先週、バー・ラボラトリーズが製造した事後避妊薬（モーニングアフター・ピル）「プランB」を薬局で医師の処方箋なしに購入できる店頭販売の認可を無期限に延期することを決定したことに抗議して、FDA内部の女性健康部門の幹部が辞任して、社会問題化してきている。

　　辞任したのは、FDA女性健康部のスーザン・ウッド副理事。元々、FDAは9月1日までに決定するとし、現在、FDA局長のレスター・クロウフォード氏も、今年に入って、プランBの店頭販売について決断するとの条件で、上院の承認を得て、FDA局長に就任していた。ウッド副理事は、「この薬は妊娠を望んでいない女性を守り、中絶の数を減らすことができる。同薬に対する制限は、女性のためにならない」と発言している。

　　同薬については、FDAは、医師の処方箋つきでの販売を1999年に認めている。2003年12月には、FDAの専門委員会が賛成23、反対4でプランBの店頭販売に賛成を表明したが、FDAは2005年1月に店頭販売の決定を延期している。FDAが懸念しているのは、同薬の流通の仕方と年齢制限だ。成人女性が医師の相談なしでこの避妊薬を摂取しても安全だと見られているが、FDAは、この薬の処方箋なしの販売を17歳以上の女性に制限しようしている。

　　民主党のヒラリー・クリントン上院議員などは今回のFDAの決定を非難し、FDAの独立性に疑問があるとして、聴聞会の開催を要求している。この問題は、事後避妊薬が手に入りやすくなれば、10代の少年少女の性的関係を助長すると主張する保守派層や中絶反対派層にとっては、非常に微妙な問題で、保守とリベラルの政治と宗教を巡る争いに発展する可能性もある。【了】