CBS MarketWatchによると、30日のニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)で、米国標準油種であるWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)の10月渡しは、大型ハリケーン「カトリーナ」が、石油関連施設が集中し、米国の石油・天然ガス生産の4分の1を占めるメキシコ湾岸を襲い、周辺の施設が操業停止に追い込まれたことから、原油や石油製品の供給不安が高まって買われ、一時1バレル＝70.85ドルまで上伸して過去最高値を更新した後、前日比2.61ドル（3.9％）高の1バレル＝69.81ドルと続伸して引けた。

　　米政府は29日、SPR（国家戦略石油備蓄）の一部取り崩しを検討すると発表したが、SPRから原油を一時的に貸し出しても、原油を精製する施設が稼動できないとの見方が広がり、原油価格の急騰を抑制できなかった。また、OPEC（石油輸出国機構）も同日、追加増産を次期会合で協議すると発表したものの、会合の開催日が9月19日と約3週間も先であることから、供給不安を抑えられなかった。

　　ガソリン先物の9月物は、一時、1ガロン＝2.50ドルに上伸して過去最高値を更新した後、前日比41.39セント（20.1％）高に急伸し、最高値の2.4745ドルで引けた。暖房油も、同116.71セント（8.8％）高の2.0759ドルで引けており、最高値を更新している。天然ガス先物の10月物は、同52セント（5％）高の100万Btu＝11.659ドルで引けた。

　　米エネルギー省は31日朝、26日までの週の週間石油在庫統計を発表する予定で、7月1日以降減少の続いているガソリン在庫に市場の注目が集まっている。市場予想では、米金融大手ワコビアのアナリストらは270万バレルの減少、投資大手ファイマットは175万バレルの減少を見込んでいる。一方、同日発表される原油在庫は増加すると見込まれており、ワコビアは150万バレルの増加、ファイマットは200万バレル増加するとしている。【了】