高良健吾、16歳で出会った東出昌大は「3人の父親になっててカッコいい」
「僕の中で“このままでいいのか”っていうことは常に思っていて。自問自答なんです。わからないんだよな、どうやったら頭の中ってからっぽになるんだろう。仕事じゃないことも考えてるし、寝ても夢ばっかり見るし(笑)。でも、今さら変えられない、こうやって生きてきたから。これが僕にとっての“普通”なのかも」
数々のドラマや映画に出演し、月9からミニシアター系まで幅広く活躍する役者・高良健吾(29)。作品によってさまざまな“顔”を見せる高良だが、映画『月と雷』では、“普通の生活”を追い求める孤独を背負った青年・智を演じている。
「撮影中は“普通”って何だろうと考えました。この作品に出てくる人たちはみんな寂しそうだし、飢えてるし、何かに傷ついてて、それでも自分の弱点を認めて一生懸命生きている。もどかしさもあるけど、彼らの“普通”はこの人たちの生き方でもあるから否定・肯定するってことではなく、この生き方を見たときに何を感じるかが、この映画の面白さだと思います」
撮影は田園が広がる自然豊かな場所で行われたそうで、
「田舎が好きなんです。人間が手をつけてない場所、そういったところに惹かれるんだと思います。地元の熊本も自然豊かで。今でも年に3〜4回は帰っています」
転勤族の父のもとで育った高良。生まれた熊本を1度は離れるも中学2年生で戻り、そこから青春時代を過ごす。
「今でも地元のやつらとは仲がいいです。でも、もうみんな子どもがいるんですよね。最近では東京というか役者友達の東出とかも、いきなり3人の子どもの父親になってて。カッコいいな〜って(笑)」
昔から深い親交があるという東出昌大とは、16歳のときに初めて受けたモデルのオーディションで出会ったとか。
「当時、僕は熊本の高校生、あいつはまだ埼玉県の高校生でした(笑)。オーディションに高校生は僕たちしかいなかったんです。そこで東出がグランプリをとって、僕は2次審査で落選しました。役者を始めたのは僕のほうが先だったけど、大河ドラマ『花燃ゆ』でライバル関係(高杉晋作と久坂玄瑞)になったり、日本アカデミー賞で再会したり(笑)。おもしろい関係ですね」
さらに、高良に影響を与えた役者仲間にはこんな人たちも。
「松田翔太くん、柄本佑くんとも仲がいいです。翔太くんからは“芸能界で生き残る覚悟”、佑くんからは“映画への愛やお芝居の厳しさ”を学びました。東出を含めてその3人は、僕にとって特別。いろんなことを学ばせてもらって、すごく感謝しています」
実力派が多い同世代。活躍を目の当たりにしてライバル意識が芽生えたりは?
「それはないです。その人が演じると決まった時点でそれが正解になっているから“俺のほうがやれた”とかはないですね。嫉妬しても遅いですから。しかも、同世代で刺激を受ける人たちは、みんな努力家なので」
悔しさよりも感動が勝り、同時に“僕もしっかりしなきゃ”と背中を押されると高良。
「同世代が刺激し合っていって、どんどん盛り上げていきたいです」
11月12日で、30歳に!
「10代後半から20代前半は、うまくいかないことのほうが多くて。経験が伴わなくて体現できないこともあって、すごく悔しい思いをしたことも。そのとき、30歳になったら自分がやりたいことができるようになるのかなって。だから僕はかなり早い段階で30歳を意識していたし、なるための準備をしてきました。
でも、自分はまだまだ子どもだなって。例えば何かを伝えるのに、つい言いすぎてしまう。言いたいことが10あるとしたら20しゃべっちゃう(笑)。言葉にしろお芝居にしろ、“短く豊かに”表現できる人はスマートだし、カッコいいなって思います」
<出演情報>
映画『月と雷』
10月7日(土)全国ロードショー
結婚を控え、これから“普通の家庭”を築こうとしていた泰子(初音映莉子)。そんな彼女の前に、20年前に半年間だけ一緒に暮らしていた父の愛人の息子・智(高良健吾)が現れる。直木賞作家・角田光代の傑作長編、待望の映画化。