心が強い人が心がけているたった1つのこと
森本稀哲氏の処女作『気にしない。どんな逆境にも負けない心を強くする習慣』では、少年時代から北海道日本ハムファイターズ、横浜DeNAベイスターズ、埼玉西武ライオンズで迎えた引退試合まで、40にも及ぶエピソードを収録。著者自身が抱えた問題から何を学び、どのように解決してきたのか――ポジティブになれる何かを必ず感じ取ってもらえるはずです! 読後、前向きになれるコンテンツを本書から紹介します。
2006年優勝のきっかけとなった「全力疾走」
「守備位置まで全力で走っていこう。お客さんも、俺たちのそういうピリッとした姿を見たいんじゃないかな」
2004年のオープン戦で、新庄剛志さんから、試合前にそう声をかけられました。それは、2軍を率いていた白井一幸さんが、選手たちに義務付けた「全力疾走」の意識とぴったりでした。
チーム全体に「全力疾走」の精神が広まった2006年、日本ハムは25年ぶりとなるリーグ優勝と、44年ぶりの日本シリーズ制覇を果たします。
ですが、シーズン序盤は苦戦続きでした。そんななか、選手たちが心がけていたのは、「アウトになるとわかっていても走る」「キャッチできそうになくても走る」「ポジションにつくときも本気で走る」といった全力疾走でした。
僕は、2006年の開幕4戦目から先発出場できるようになったのですが、全力でのプレーを繰り返していると、相手チームを勢いで押し込める感覚がありました。前半は負けているけど後半に逆転できる、そんな試合も増えていった印象です。
7〜8月になり、Bクラス(4位以下)スタートだった日本ハムが優勝戦線に絡み始めると、北海道の人たちが、以前よりもたくさん試合観戦に来てくれるようになりました。
札幌ドームに移転した当初、交流戦を観に来るお客さんの半分以上が読売ジャイアンツのファンでした。僕らのホームなのに、すごく悔しかったですね。その当時からしたら、すごい変化だと思います。
日本ハムは、この時期からようやく地元の北海道で愛されるチームになっていった気がします。
応援の力に背中を押されて、日本ハムは勢いを増しました。
「応援してくれる人たちのためにも結果を出したい」
選手たちのそんな思いがいい方向に働いて、日本ハムが快進撃を続けると、ついに9月27日の福岡ソフトバンクホークス戦で、レギュラーシーズン1位が確定します。しかしこれで優勝ではありません。2004年から3年間導入されたプレーオフ制度によって、1位から3位のチームで行われるトーナメントを勝たなければ、リーグ優勝にはならなかったのです。