赤ちゃんはママの薄暗いおなかの中から、多くの「色」にあふれた世界にやって来ます。しかし、生まれたばかりの赤ちゃんが私たち大人と同じような色の認識を持っているかというと、そうではありません。

 赤ちゃんにとっての「色の世界」とはどのようなものでしょうか。オトナンサー編集部では、カラー&イメージコンサルタントの花岡ふみよさんに聞きました。

生後3カ月で「心理四原色」を認識

 花岡さんによると、生後間もない赤ちゃんの目は視覚器官としてはほぼ完成していますが、色の認識などの機能は未熟です。視力は「0.02程度」といわれ、焦点が合う特定の狭い範囲で明暗を感じていると考えられます。

「赤ちゃんに目を見つめられたことのある人は多いと思いますが、これは白と黒のコントラストがくっきりしていて見やすいから。日光が差し込む方向や照明を追って、首を傾けるような仕草をするのも明るさを感じ取っているからです」(花岡さん)

 赤ちゃんは生後3カ月ごろから、動く物を目で追うようになります。この時期から「心理四原色」という、赤や黄色などのはっきりとした色が見えるようになり始めます。「心理四原色とは、人間が最も見分けやすいとされる色のこと。赤ちゃんが最初に認識する色は赤でその後、黄、緑、青の順番で認識するようになります」。

 生後9カ月ごろには、色を見分ける色覚が発達。心理四原色のほか、オレンジ、紫なども認識できるようになります。さらに2歳以降になると、赤とピンクなどの濃淡の違いもわかるようになり、3歳ごろには「好きな色」「嫌いな色」も出てきます。大人と同じ色覚が備わってくるのは5〜6歳ごろといいます。

色覚は物を見ることで発達する

 ところで、ベビー服やベビーグッズにパステルカラーやペールカラーが多用されるのは、純真でかわいらしい赤ちゃんのイメージに合った色だから。しかし、淡くて薄いこれらの色は、色覚が未熟で視力の弱い赤ちゃんに認識されません。紺やこげ茶、暗い灰色なども同様。「色覚が十分発達していない0歳代は、あいまいな色よりもビビッドな色の方が印象に残りやすいため、子育て中のママには赤や黄色などのカラフルなファッションをオススメします」。

 花岡さんによると、色覚は物を見ることで発達していくもの。赤ちゃんには積極的に色を見せることで、情緒の豊かさを育むことができます。「おもちゃや絵本などは特定の色に偏らず、さまざまな色をそろえましょう。また、自然界にも植物や空などの美しい色があふれています。人工の色とは異なる、彩り豊かな天然色を体験させてください」。

(オトナンサー編集部)