【埼玉展望】今年も各ブロックで激戦!浦和学院、花咲徳栄など有力校の戦力を徹底分析!
7月8日から開幕する第99回埼玉大会の組み合わせが、6月20日に決まった。浦和学院、花咲徳栄、春日部共栄、市立川越の4強を中心に有力校が集った。今大会の有力校の戦力、各ブロックの見どころを紹介していきたい。
■トーナメント表
浦和学院のブロックには上尾、埼玉栄、聖望学園がゾロゾロと佐野涼弥(浦和学院)
浦和学院は三郷と対戦する。関東大会優勝をして、かなり力をつけた浦和学院。投打とも安定感ある戦いが魅力。投手では2年生3投手の実力に注目だ。最速143キロのストレートと縦スライダーを武器に、関東大会防御率0.00の佐野 涼弥、130キロ台のストレートとカットボールを売りにする近野佑樹、140キロ近い速球で押す大型右腕・渡邉 勇太郎の3人が関東大会で好投。3人が万全の調子で大会に臨み、3年生左腕・清水 洋炳が復調して、大会に臨むことができれば、盤石な投手陣となる。打線では、家盛 陽介、蛭間 拓哉の左打者を中心に勝負強い打者が多い。一発長打はあまりない打線が、しぶとい勝負強さを持った「浦和学院」らしい選手が多いのが魅力だ。
守備力も非常に堅く、簡単に失点を与えない。4年ぶりの甲子園を狙える戦力を有している。
そんな浦和学院と同ブロックなのが、ノーシードの上尾だ。県大会初戦で敗れたが力は十分。エース・酢谷 樹平は安定感十分の右投手で、打線もミート力が高く、守備力も高い。夏へ向けて仕上げてきそうだ。
同ブロックには最速146キロ右腕・布川雄大擁するDシード・武南も面白い。夏へ向けて打線強化。布川も変化球・制球力を高め、左打者への攻めが磨かれれば、浦和学院を抑えることができる素質を持った投手となる。布川が高卒プロの道が切り開かれるかは、この夏の投球次第。特に強豪校と当たった時の内容が春より成長を見せられているか、注目をしていきたい。初戦は西部地区の強豪・星野と対戦する。
ノーシードには機動力野球を売りにする蕨、130キロ後半の速球を投げ込む小向 直樹擁する桶川は打線も強力。公立校にしぶといチームが集まっている。
Dシードの本庄東は、いきなり埼玉栄と対戦する。埼玉栄には2年生の本格派右腕・米倉 貫太のピッチングに注目。春の地区予選では力を発揮することができなかったが、ぜひ圧倒できる投球を期待したい。同ブロックにはノーシードの聖望学園が登場する。春は浦和学院に9回表二死まで追い詰めた学校であり、その浦和学院が関東大会優勝までしたのだから、聖望学園は相当力があるチームであり、侮れない存在だ。その聖望学園の戦力を紹介すると、エース・西澤 海は右スリークォーターから最速142キロのストレート、スライダーで勝負する速球派右腕。2番手の佐藤 祐哉も182センチの長身から140キロ台の直球を投げ込み、打線も長打力ある選手が揃い、どこからでも点を奪うことができる。率いる岡本監督は浦和学院戦後、メンバー入れ替えも示唆していたが、激しい競争の末、勝ち抜いたレギュラーはどんな選手たちになるのか。見逃せない。
花咲徳栄は足りない何かを埋められるのか清水達也(花咲徳栄)
シードの叡明で、身体能力抜群の大型センター・三上 ケビン、強打強肩の捕手・室賀 優斗の2人に注目。夏へ向けて投手力をさらに強化をしていきたい。同ブロックでは、甲子園出場経験がある所沢商、東部地区の強豪・鷲宮が中心となりそうだ。大型三塁手・緒方 康貴、技巧派右腕・菅原 隆史の投打の柱を揃えた大宮東は、埼玉秀明と対戦する。このブロックは全体的に力が均一しており、ノーシードになった学校はどこが勝ち進んでもおかしくない。
春4強の春日部共栄は入間向陽と対戦。この春、2年生中心の構成だったが、あまり結果を残すことができず、県大会以降の練習試合では3年生がほとんど。本多 利治監督は「外された2年生はこれで発奮して目の色を変えて取り組むようになりましたし、そして出られなかった3年生も気持ちを入れ替えて取り組んで、伸びてきた」と手応えを実感している。現在も激しい競争が行われており、背番号発表もギリギリまで行わないという。つまり結果を出し続ければどんな選手でもチャンスがあり、最近の練習試合では一度も公式戦にベンチに入ったことがない選手が、Aチームの試合に出ているようだ。そんな春日部共栄の主力選手は、バットコントロールが長けた山本大貴、高校通算7本塁打で、スローイングタイム1.8秒台の強肩が持ち味の又吉 一瑳、投手陣では最速137キロを計測する大型右腕・森田幸樹(2年)に注目だが、右サイドから135キロを計測する高橋大地が伸びてきており、本多監督からの期待も高い選手だ。全学年の力を結集し、頂点を狙う。
春日部共栄の同ブロックでは川口が怖い存在だ。県大会では市立川越戦ではコールド負けを喫したが、オーバーフェンスを打てる打者が多いのが特徴。投手力、守備力を強化して、夏に臨んでいきたい。
花咲徳栄は、越谷総合技術と対戦。今年の花咲徳栄は、最速149キロ右腕・清水 達也、綱脇 慧の二枚看板が最大のウリ。絶対的な安定感がある2人を打ち崩すのは容易ではない。打線も県大会大爆発、関東大会でも本塁打を打った大型スラッガー・野村 佑希も、投手として、常時130キロ後半の速球を投げ込む逸材だが、現状は野手の大物として育てていく意向。野村の成長で投手陣の厚みが増せば楽しみだ。打線は西川愛也、主将で勝負強い打撃を見せる千丸 剛に加え、一発長打がある強打の捕手・須永 光と各打者の能力も高く、主将・千丸のように精神力の強い選手が並び、秋と比べると大きく成長を見せてきた。だが、浦和学院に二季連続で敗れ、関東大会では早稲田実業に敗れた。何かが足りない...。その何かを埋めることができれば、3連覇。そして甲子園でも勝てるチームへなれる可能性を持ったチームだ。
山村学園、市立川越の西部地区の強豪も見逃せない矢口 皓太(山村学園)
同ブロックには、山村国際、大宮南、開幕戦に登場する開智など実力校が揃う。Dシード・浦和実は、2年生左腕・英 真太郎、本格派右腕・三本木 大夢など投手陣の駒は豊富。打線のレベルも高め、上位を狙いたい。
1回戦でサヨナラ勝ちするなど劇的な勝利でベスト16まで勝ち進んだ埼玉平成。上位下位切れ目なく、下位打線からも一発が飛び出す。特に中心が、投打にセンスのある時田浩暉に注目だ。ふじみ野は、本格派右腕・高野将生が中心。また打線も硬軟織り交ぜた打撃で、攻撃の幅が広い。同ブロックには立教新座、大宮西など好チームが揃っている。
打線に力がある川越工、エース・小久保伊風記も安定感十分で、上位を狙える布陣だ。このブロックには西部地区の強豪が多く、機動力野球で勝負する西武文理、ノーシードでスタートする川越東、強打の本庄第一、攻撃力が高い富士見などバランスが取れたチームが実に多い。
最速142キロ右腕・矢口 皓太擁する山村学園は投手陣の層が厚く、打線はミート力が高い打者が多いのが特徴。機動力を使った野球で相手をかき回すチームだ。同ブロックには南稜、狭山ヶ丘など実力が揃った。そして春のベスト4・市立川越は、越谷東と対戦。市立川越も、つながった止まらない破壊力ある打線が持ち味。本塁打は少ないが、内野の間を抜く鋭い打球が非常に多い。得点力が高く、打ち勝つ野球で頂点を目指す。そして勝利のカギは春不調に終わった本格派左腕・メンディス 海にかかっているだろう。
(文・河嶋 宗一)
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