『おかんメールFinal』(『おかんメール』制作委員会=編/扶桑社)※記事中にある画像をクリックするとamazonのページにジャンプします

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シリーズ累計43万部超!ファイナルはおかんの愛情炸裂の作品満載

■『おかんメール Final』(『おかんメール』制作委員会=編/扶桑社)

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 2014年の母の日に発売となった『おかんメール』シリーズが、ついに7巻目にしてファイナルを迎えた。『焼きそばちくりました』というクスッと笑える誤字メールや、『あんた、シンゴリラ観た?』という惜しい間違いメールなど、モバイル機器を使い慣れていない母親から届くメールは誤字脱字&意味不明のオンパレード。

 狙っていないからこそ生み出される奇跡の文章はもはや神ワザ級。1、2作目はメール画面でのやりとりが多く掲載されていたが、3年の時を経ておかんたちの利用機器も携帯からスマホへと進化したからだろう、最新作ではLINE画面のやりとりがほとんどだ。

 さらにファイナルということもあり、新作や写真シリーズとともに過去の6巻からのベストセレクションも掲載。破壊力バツグンの笑いとともにおかんの深い愛情にウルッとてしまう1冊、ホッとひと息つきたいときにおすすめです。

(文/アリス美々絵)

11歳の双子が果敢に挑む大人生活!愛しき子どもと元子どもたちの優しい物語

■『ハッチとマーロウ』(青山七恵=著/小学館)

 好奇心いっぱいでおしゃまな双子・ハッチとマーロウは、11歳の誕生日にママから「大人を卒業し、だめ人間になる」との宣言を受けます。さらには子どもを卒業して、大人になることを勝手に決められてしまいます!

「大人になったら自分を名前で呼ばず、『わたし』と呼ぶの?」「個性を出すってどうすればいいの?」「ずっと同じパンツとタオルを洗う人生って、何?」──大人としての生活を始めた双子は、純粋な子どもの視点で見つけた疑問点を話し合い、早熟なクラスメート、ママの旧友たち、幼なじみのお姉さんなどの言動から、価値観を固めるヒントをもらいます。

 悪人が1人もいない、優しい物語が進む中、読者は自らの甘酸っぱい思い出を重ねつつ、双子と一緒に大切なことに気づいていくことでしょう。挿絵は、名作ジュニア小説『おちゃめなふたご』の挿絵を手がけた田村セツコさん。アートワークも魅力的な、読後感爽やかな1冊です。

(文/中尾巴)

”新人ケースワーカーの目を通して迫る生活保護のリアル

■『健康で文化的な最低限度の生活』[5](柏木ハルコ=著/小学館)

 新卒公務員・義経えみるが区役所に就職後、配属されたのは福祉事務所。生活保護について何も知らないシロウトが、受給者ひとりひとりの生活に密接に関わるケースワーカーとして歩み始める青春奮闘記。

 福祉事務所を訪れる人々の事情はさまざま。虐待やDV被害に遭っていたり、食うや食わずの暮らしをしながら借金を返済していたりと、抱える困難もそれぞれ違う。そんな受給者の困りごと解決に奔走し、不器用ながらも真摯に向き合う主人公の姿を通して、窺い知れない生活保護のリアルな実態を知ることができる。

 5巻ではアルコール依存症の男性が登場。緊急搬送されても勝手に退院、禁酒を誓っては約束を破り、衰弱しても酒をやめない。それは酒をコントロールできない病気だからなのだが、男性が暮らすアパートの大家のように「福祉が酒飲む金与えて」と見る誤解は根強い。この難問を義経はどう解決するのか。異色作の行方を期待してチェック!

(文/週刊女性編集部)