トランプ大統領は2017年1月、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)から永久に離脱するとした大統領令に署名した。日本にとって米国の離脱は大きな誤算だったと言える。だが、日本は米国抜きのTPPの可能性も模索しており、麻生太郎財務相は19日、米国抜きの11カ国でTPPの発効を目指す「TPP11」の協議が5月に行われると見通しだと述べた。(イメージ写真提供:123RF)

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 トランプ大統領は2017年1月、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)から永久に離脱するとした大統領令に署名した。日本にとって米国の離脱は大きな誤算だったと言える。だが、日本は米国抜きのTPPの可能性も模索しており、麻生太郎財務相は19日、米国抜きの11カ国でTPPの発効を目指す「TPP11」の協議が5月に行われると見通しだと述べた。

 しかし、香港メディアの鳳凰網は24日付で、米国という大きな市場の存在しないTPPは意味をなさず、日本もTPPを牽引するリーダーにはなれないと主張する記事を掲載した。

 記事は、かねてよりTPPに反対していたトランプ氏が大統領になったことで、日本をはじめとするTPP参加国は「針のむしろ」の状況に追い込まれたと指摘。麻生財務相が日本政府を代表して語ったTPP11構想について「米国に対する乱暴な言論」だと表現する一方で、日本の思惑はTPP11の成立以外にも3つあると説明した。

 まず1つ目として、オーストラリアなどの国は大きな市場を持つ中国のTPP参加を希望しており、それによりTPP構想を存続させたいと願っていると説明。しかし、これはアジアの主導的地位にいる日本にとっては非常に不愉快なことであり、それゆえ「中国の参加」を排除するためにTPP11に踏み切ったと論じた。

 2つ目として、安倍首相がトランプ大統領が考えを変えて再びTPP参加を表明すること期待し、米国の反感を買う可能性があると知りつつもTPP11を持ち出したと説明。また、3つ目として日本は米国との2国間交渉を有利に進めるためのカードとしてTPP11を用いるつもりであると主張した。

 最後に記事は、日本がTPP11に対してこうした思惑を抱いているとしても、日本を除いた10カ国は米国という大きな市場のないTPPに対して魅力を感じていないうえ、大きな市場を持つ中国も参加しないのであれば、日本がリーダーシップを取るTPP11には魅力がないものだと論じた。

 中国がTPPに参加すれば、大きな市場を持つ中国に主導権を奪われる可能性は排除できない。また、中国は東アジア地域包括的経済連携(RCEP)を主導しており、TPPに参加しなくても、自国の影響力を拡大するための枠組みを持っていると言える。TPPやRCEPは日本と中国の経済的影響力をかけた駆け引きの場でもあると言えよう。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)