早稲田実業vs中央大学
本塁打を打った西田を迎える清宮(早稲田実業)
選抜の組み合わせが決まり、開幕まで1週間と迫った。早稲田実業は前日、早稲田大とのOP戦に続き、大学生と練習試合を行っている。12日、早稲田実業は中央大学のBチームと対戦した。Bチームとはいえ、スタメンの選手たちを見ると、高校時代、騒がれてきた逸材ばかりだ。1番セカンド 内山 京祐(1年・習志野)2番DH 大城 龍生(2年・糸満)3番サード 日野地一希(3年・日大藤沢)4番ライト 西山 伸之助(2年・聖光学院)5番キャッチャー 了海 航(2年・國學院久我山)6番ファースト 五十嵐 滉希(2年・関東一)7番レフト 倉石 匠己(1年・東海大市原望洋)8番センター 中林 幹弥(1年・前橋工)9番ショート・那賀一球(1年・臼杵)了海、倉石、中林などドラフト候補として注目されてきた選手もおり、早稲田実業投手陣からすれば、絶交の練習相手である。選抜へ向けて、どう抑えるかが、重要となる。先発のマウンドに登ったのは2年生右腕の池田 徹。
その池田を援護するべく、1回表、早稲田実業は一死一、二塁から野村 大樹の適時打で1点を先制する。先発の池田は1番内山に中前安打を打たれ、二死三塁のピンチを招くが、なんとか後続を抑えてゼロにとどめる。
3回表、早稲田実業は無死一塁から2番西田がバスターを仕掛けて、インコースのストレートを振りぬく。打球はライトスタンドへ消える2ランとなった。そこから早稲田実業はこの回、打者9人の攻めで、一挙5点を入れて、6対0と点差を広げる。試合の主導権を握った早稲田実業。
池田は3回裏に適時打とバッテリーミスで2点を失ったが、4回まで130キロ前後のストレートと縦スライダーのコンビネーションで4回2失点の好投。要所で、低めへ変化球が決まり、角度あるストレートがコーナーぎりぎりに決まった。
早稲田実業打線は5回表、一死二、三塁から9番野田 優人の犠飛、1番福本 翔の敵失で1点を追加。さらに6回表にも、二死二塁から橘内 俊治の二塁内野安打の間に二塁走者が生還。さらに9番野田にも適時打が飛び出し、10対2とした。中央大投手陣はレベルは高く、登板した全投手の球速は、130キロ中盤。高校生投手にはない切れのあるストレートを投げる投手ばかりであった。そういう投手たちに対しても、しっかりと打つ球、見送る球を見極めながら、点を重ねていったのは非常に大きいだろう。
赤嶺大哉(早稲田実業)
早稲田実業の投手陣は大学生相手にも動じずに投げ込んでいく。2番手の赤嶺 大哉が125キロ前後の速球を内外角へ投げ分け、手元で切れるスライダー、チェンジアップ、カーブを低めに集まる丁寧な投球。ここぞというときにストレートで押す投球も忘れず、中央大打線を3回無失点に抑える好投。
8回裏からはエース服部 雅生が常時120キロ後半〜130キロ前半のストレートをぐいぐい押して、1失点に抑える力投。9回裏からは石井 豪が120キロ後半の速球とスライダーのコンビネーションで無失点に抑え、試合終了。中央大Bチームに10対3と大勝。選抜初戦へ向けて弾みがつく勝利となった。
早稲田実業ナインは選抜前に大学生と戦うのは大きな意義がある。まずは高校生と比べると、すべてにおいてレベルが高い。一瞬の気のゆるみが大量失点につながるケースがある。そして簡単に打ち崩すことができない投手ばかり。そういう中でも、早稲田実業ナインはかなり集中力をもってプレーすることができている。
そしてもう1つは大学生のプレーを目の当たりにすることで、学べるものがあること。中央大は試合には敗れたが、試合前のノックはさすが大学生というべき動きを見せていた。軽快なフットワーク、確実で力強いスローイング、捕球してから送球するまでの移行の速さは、素晴らしいものがあった自分のプレー上達につなげていくのが早稲田実業首脳陣の狙いなのだろう。大事な選抜前の調整に、早稲田実業ナインは多くのことを学んでいる。
さて高校通算79本塁打の清宮 幸太郎は、5打数1安打に終わった。打席結果は以下の通り。
第1打席 四球、第2打席 二ゴロ、第3打席 見逃し三振、第4打席 一ゴロ、第5打席 三振、第5打席 右翼線二塁打
この日の清宮はあまりボール自体は見えておらず、また悪癖の手首の返りが早く、突っ込み気味の打撃フォームとなっていた。良い時の清宮はぎりぎりまでボールを呼び込んで打ち返すことができるところ。また自分の感覚で打てていない。残りの練習試合で、自分のタイミングで、自分のフォームで打ち返すことができるか注目をしていきたい。
(取材・文=河嶋 宗一)
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