いきなり履正社vs日大三の黄金カード実現!選抜大会の見どころを徹底解説!

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 第89回選抜高校野球大会の組み合わせ抽選会が3月10日、毎日新聞大阪本社オーバルホールで開催された。今年もいきなりの好カードが実現。とくに大会初日は注目カードが目白押しとなった。

大会1日目で履正社vs日大三、智辯学園vs熊本工の強豪対決!

安田 尚憲(履正社)

 今大会の開幕戦は、至学館vs市立呉に決まった。両者ともに小技を駆使するチームで、似た者同士の対戦。どう試合運びを見せていくのか注目だ。

 そして第2試合では、1回戦屈指の好カードが実現した。履正社vs日大三である。両チームの魅力は、長打力だ。なんと日大三も履正社も公式戦で、チームの本塁打数「15」本を記録しており、甲子園でも一発が期待できそうだ。履正社はプロ注目のスラッガー・安田 尚憲(関連記事)と、主将であり、前チームから主力の若林 将平の3、4番コンビの破壊力は十分。また、186センチの大型セカンド・松原 任耶、強打の捕手・片山 悠など長打力のある打者が多く揃う。投手陣では最速145キロ右腕・竹田 祐。さらに、140キロ近い速球を投げ込む田中 雷大や左腕・松井 百代も控えており、盤石の布陣だ。

櫻井 周斗(日大三)

 一方、日大三は秋で4本塁打を放った井上 大成と、193センチ101キロの「デカプリオ」こと金成 麗生は公式戦で3本塁打をマーク。エースの櫻井 周斗も秋3本塁打11打点と勝負強い打撃を発揮。また、投手としても注目を集める櫻井は、最速144キロのストレートと、分かっていても打てない縦スライダーを武器に、公式戦では44.2回を投げて58奪三振。奪三振率11.81と驚異的な数字を残している。投打ともに高いレベルでの戦いとなり、大きく盛り上がることは間違いない。

 さらに前年優勝の智辯学園は古豪・熊本工と対戦。エースの松本 竜也は、恵まれた体格から投げ込むストレートが最速146キロを誇り、スライダー、フォークの精度も高い本格派右腕。注目は選抜優勝を経験した強打者コンビ・福元 悠真、太田 英毅。2人とも長打力、対応力の高さは全国クラスで、ドラフト候補としてアピールできるかに注目が集まる。熊本工は、最速149キロ右腕・山口 翔の出来がカギとなりそうだ。この冬は、ストレートの質、制球力向上をテーマに取り組んできた。山口は、この大会が自分の進路を決めるためにはかなり大事な大会と位置づけており、強力な智辯学園打線と対戦するのは、山口にとっては絶好のアピール機会となった。

大会注目右腕・金久保 優斗(東海大市原望洋)の投球に注目

 大会2日目の第1試合は複数投手陣と強力打線で勝負する盛岡大附が登場。相手は後半に畳みかける打撃力がウリの高岡商だ。第2試合に登場する報徳学園は21世紀枠の多治見と対戦する。報徳学園の永田 裕治監督はこの大会限りで監督業を退く。それだけに報徳学園ナインがこの大会にかける思いは強い。今年は強打の捕手・篠原 翔太、一発長打を秘めた二塁手・片岡 心、俊足巧打の遊撃手・小園 海斗と好野手が揃うチームだ。

 そして第3試合では前橋育英が21世紀枠出場の中村と対戦。前橋育英は、最速143キロ左腕・丸山 和郁、140キロ右腕・吉澤 悠など投手陣のレベルが高く、さらに打線も後半に畳みかけることができる。中村は、エースの北原 野空の投球に注目。粘り強い試合運びで、勝利を目指す。

金久保 優斗(東海大市原望洋)

 大会3日目は九州大会優勝の福岡大大濠が登場。安定感抜群の右腕・三浦 銀二(関連記事)と高校通算41本塁打の古賀 悠斗のバッテリーで勝負。スラッガー・東 怜央の打棒にも注目だ。その福岡大大濠と対戦する創志学園は、投打でチームを引っ張る難波 侑平がキーマン。堅実な守備で、失点を防いでいきたい。東海大市原望洋は最速147キロ右腕・金久保 優斗の投球がカギとなる。秋から鍛えてきた機動力と守備力を武器に勝ち上がる。対する滋賀学園は、エース・神村 月光(関連記事)、棚原 孝太の二枚看板が軸となり、その2人をリードする後藤 克基は巧みなリードと強打で勝負する。

 機動力自慢の健大高崎は、昨年の選抜経験者が多く揃う札幌第一と対戦。今年の健大高崎は複数の投手陣が揃い、1番湯浅 大、2番小野寺 大輝でかき回す。札幌第一のウリは、安定した投手力と強力打線。冬から鍛えてきた打撃力で、初勝利を目指す。

 大会4日目の第1試合、強打の福井工大福井と総合力が高い仙台育英の対戦は要注目。激しい攻防が期待できそうだ。第2試合は昨年、二季連続甲子園ベスト4の秀岳館と高田商が対戦。強打の三塁手・廣部 就平、最速144キロ左腕・田浦 文丸など昨年の経験者が揃っており、今回の選抜でも活躍が期待できそうだ。

早稲田実業vs明徳義塾の一戦に注目

 昨年の夏優勝の作新学院は帝京第五と対戦。作新学院は本塁打を打てる核弾頭・鈴木 萌斗など俊足巧打の選手が揃い、技巧派左腕・大関 秀太郎が粘り強い投球で試合を占める。帝京第五は選球眼が高い選手が揃うが、その中でも注目なのが強打の捕手・篠崎 康。秋季大会では、打率.542を記録している強打者だ。

 5日目第1試合に登場する7年ぶり出場の神戸国際大附は、安定感抜群の左腕エース・黒田 倭人がゲームメイク。そして打線では強打の捕手・猪田 和希がキーマン。猪田の前にどれだけ走者を溜められるかがカギとなる。対戦する東海大福岡は、テンポの良い投球をウリとする右サイド・安田 大将が、自分の持ち味を発揮できるか注目される。

清宮 幸太郎(早稲田実業)

 そして第2試合に、世代ナンバーワンスラッガー・清宮 幸太郎(関連記事)擁する早稲田実業が登場する。また清宮に加え、昨夏から4番に座る野村 大樹(関連記事)がけん引。その他にも橘内 俊治、雪山 幹太など、後に続く打者も好打者が多く、抜け目のない打線が特徴だ。その早稲田実業と対戦するのが明徳義塾。明徳義塾は安定感抜群のエース・北本 佑斗がキーマンとなるだろう。そして明徳義塾といえば、綿密なゲームプランを立てて勝ち進んできた名門校だ。早稲田実業戦へ向けて、どんなゲームプランを持っているのか、注目の清宮、野村相手にどんな対策を立てて試合に臨むのか大いに注目したい。

 静岡は、21世紀枠の不来方と対戦。静岡の左腕エース・池谷 蒼大は、このオフはフォーム固めに努め、3月に始まった実戦登板でも手ごたえをつかんでいる。2年前の選抜では強力打線で勝負したが、今年は投手力で上位進出を目指す。対する部員10人の不来方はこれまで鍛えてきた強打で静岡に立ち向かう。

 大会6日目に登場する大阪桐蔭は宇部鴻城と対戦。今年は徳山 壮磨、香川 麗爾、横川 凱、根尾 昂(関連記事)による「140キロカルテット」が自慢。そして打線も、山本ダンテ武蔵、岩本 久重、中川 卓也など強打者が揃い、優勝候補の一角として、注目が集まる。宇部鴻城は、全国トップクラスのショート・嶋谷 将平(関連記事)に注目。さらに1番を打つ古谷 慎吾など巧打者が揃っている。

 今年も好カードが多く実現した。大会は3月19日から開幕し、3月30日に決勝戦を迎える。

(文・河嶋 宗一)

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