伊藤若冲「鳥獣花木図屏風」モチーフの漆塗りステアリング完成イメージ画像(提供:浄法寺漆産業)

車のハンドル、正確にはステアリングというが、このステアリングに、伊藤若冲の「鳥獣花木図屏風」をモチーフとした、漆塗りアートを製作しようという、ユニークなプロジェクトが岩手県盛岡市で進行中だ。インターネット上のクラウドファンディング「CANPFIRE」で、いま支援者と資金を募っており、話題となっている。

伊藤若冲の漆塗りアートを施したステアリングとは、いったい何だろう? Jタウンネット編集部は盛岡市に電話して、話を聞いてみることにした。

「すごいステアリング見つけた!! 漆!!」


伊藤若冲「鳥獣花木図屏風」モチーフの漆塗りステアリング完成イメージ画像(提供:浄法寺漆産業)

電話で答えてくれたのは、盛岡市にある「浄法寺漆産業」社長・松沢卓生さんだ。「車のハンドル部分に漆塗りを施そうという試みは、2年ほど前のことになります」と松沢さん。岩手県内の自動車関連業者による「いわてショーケースカープロジェクト」という企画に参加し、漆塗りステアリングに挑戦した。漆特有の質感、精巧な蒔絵などが好評だったという。

「そのことがきっかけで自動車メーカーからも声がかかるようになり、車の外装・内装などに漆塗りを依頼され、展示されたこともありました」と松沢さんは語る。内外装の漆塗装の実用化には時間がかかりそうだが、ステアリングの可能性は高い。「ステアリングをキャンバスに見立て、漆アートをやってみよう!と思い立ったのです」。

そこで松沢さんは、伊藤若冲など江戸時代の絵師たちの蒐集で知られるジョー・D・プライス&エツコご夫妻の協力で、伊藤若冲の「鳥獣花木図屏風」をモチーフとしたステアリングに挑戦することになった。


ジョー・D・プライス&エツコご夫妻(画像提供:浄法寺漆産業)

「木製のステアリングを土台に、3Dプリンターを使用し、プラスチックで成型したものと組み合わせます。漆塗装をプラスチック部分でも問題なく行うためには、前処理に工夫が必要です」と松沢さん。また若冲の絵は平面だが、ステアリングは立体となる。「CGの専門家に相談して、協力をお願いしなければなりません」。

制作上の問題点はいろいろありそうだが、実現に向けた意気込みを松沢さんはこう語る。

「岩手産の高品質な漆を使うと、こんな素晴らしいアートステアリングができる。支援していただく資金で、1本でも2本でも作って、証明したいと思います」

フェイスブックには、こんな声が届いている。

「すごいステアリング見つけた!! 漆!!」
「日本ウルシは美しくて器は大好きだか、まさか、このようなところに。しかも若冲。うーむ」
「かっこいいな。 若冲モチーフ漆ステアリング」