スペインを代表する世界遺産、アルハンブラ宮殿で知られるグラナダ。1236年にコルドバがキリスト教徒に再征服されてからは、ナスル朝グラナダ王国の首都として、イベリア半島におけるイスラム支配の最後の砦として栄えました。

1492年、とうとうナスル朝最後の王ボアブディル(ムハンマド11世)がカトリックの女王イサベルに降伏、城を明け渡し、レコンキスタが完了しました。

グラナダはまさに、支配者としてのイスラム教徒たちの栄華と、敗者としての悲哀を物語る街なのです。現在のグラナダで最も古い街並みが残る地区が、丘の上に広がるアルバイシン。

アルハンブラ宮殿を見渡す美景スポットとしても知られるアルバイシンは、11世紀にイスラム教徒によって築かれた街で、アルハンブラ宮殿とともに世界遺産に登録されています。

キリスト教徒の手によってグラナダが陥落した際は、アルバイシンはモーロ人の抵抗の場となり、あたりはおびただしい流血に染まったのだとか。

もともと敵の侵入を防ぐ城郭都市として造られたため、迷路のように入り組んだ路地が張り巡らされています。白壁と石畳の路地が続く街並みは、時が止まったようなノスタルジックな雰囲気。

イスラムの香りを残す世界遺産の丘、アルバイシンを歩いてみましょう。

アルバイシンへはグラナダの旧市街から歩いて行くことも可能ですが、上り坂のうえ、迷路のようなアルバイシンでスムーズに目的地にたどり着くのは困難。そのため、ヌエバ広場から出ている小型バス「アルハンブラバス」の利用がおすすめです。

まずは高台にあるサン・ニコラス展望台までバスで行き、そこから徒歩で散策するといいでしょう。

サン・ニコラス展望台は、アルハンブラ宮殿を見渡せるスポットとして知られています。大きすぎるアルハンブラ宮殿は、街中からはその全貌を見ることはできませんが、ここからなら全体像をとらえることができます。

丘の上にたたずむ壮大なアルハンブラ宮殿は、孤高の存在としての神秘的な美しさを放っています。

サン・ニコラス展望台の向かいには教会。そして、展望台のすぐそばにはモスクがあります。

街には白壁と石畳の路地が張り巡らされ、かつてのイスラム支配の名残を今に伝えています。

街を歩けば、あちこちにイスラム文化の片鱗が。

異文化が混じり合うこの風景が、時とともに支配者が入れ替わったグラナダの歴史を物語っているかのようですね。

城壁の近くにあるラルガ広場は、16世紀に市場として栄えたアルバイシンの中心で、周辺にはカフェやバルが並び、賑わいを見せています。

壁を飾る鉢植えなど、アンダルシアらしさ満点の風景も楽しめますよ。

アルバイシンの東側にあるサクロモンテの丘には、古くからロマが暮らしてきた洞窟住居の数々が残されています。

独特の雰囲気が漂うこの一画にいると、ここがヨーロッパであることを忘れてしまいそうです。

高台からはアルハンブラ宮殿やカテドラルを含むグラナダ市街を一望でき、なかでも大地に沈む夕陽が見られる夕暮れ時がおすすめ。

空がオレンジ色に染まる瞬間は、一日のなかでも特別なひとときです。

アルハンブラ宮殿を望む美しい風景と、異国情緒漂う街並みが味わい深いアルバイシン。あなたも、この世界遺産の丘に迷い込んでみては。

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