C&Rリーガル・エージェンシー社 松本 宣幸 エージェント事業部 シニアコンサルタント

 昨今、求職者数に対し、求人の数が上回る「売り手市場」の状況が続いています。採用ニーズが継続して高止まりする中で、グローバルにビジネスを展開する企業では、業界を問わず、当たり前のように高い語学力を求めるケースが多くなっています。

 英文契約書のレビュー・チェック等実務能力はもちろんのこと、日系企業であってもコミュニケーションとしての語学力(listening、speaking)が求められます。

 そして、リーマンショックを乗り越えた企業が、ここ数年で攻めの経営に転じたため、そこで果たす法務部門の役割が非常に高度化・国際化・重要化していることを実感します。

 一方、求職者の動きでは、組織で働く弁護士が増加傾向にあり、大手法律事務所・渉外事務所に所属する優秀な人材が、年収を下げてでも“インハウスロイヤー”への強い思いを持ち転職を果たしていることが特筆されます。

 これまで、どちらかというと法曹人口増大に伴う就職難や弁護士資格者の採用のしやすさが吹聴されてきましたが、インハウスロイヤーという働き方は、明確なキャリアパスのひとつとして広く認識されつつあります。

 彼ら弁護士に共通する志向性の一つとして、アウトサイダーとしての法律事務所からリーガルサービスを提供するのでなく、今後はビジネスの最前線で法務の立ち位置から直接事業に携わりたい、という点が挙げられます。

 ニーズとシーズが合致した企業では、30歳前後のスタッフクラスから40代のマネジャー・ディレクタークラスまで、幅広い層の人材獲得に成功しています。

 こうした中、企業が法務人材を採用するには、何よりも選考スピードの早さと、自社の魅力・キャリアステップをしっかり示すことが肝要です。

 例えば、書類選考に数週間要する等、意思決定の遅さは致命的とも言えます。ただ、売り手市場ゆえ、優秀な人材にはオファーが集中しますので、内定辞退となるケースも多く、人材確保に苦戦する企業が多いのも事実です。