人手不足に対して非正規よりも正社員の採用で人材を確保しようと考えている企業が多いことが、厚生労働省の8月の労働経済動向調査で分かった。

 企業に対して人手不足への対処方法を聞いたところ、過去1年間、今後1年間ともに「正社員等採用・正社員以外からの正社員への登用の増加」が最も多かった(過去1年間:62%、今後1年間:63%)。

 次いで、「臨時、パートタイムの増加」(過去1年間:46%、今後1年間:45%)、「派遣労働者の活用」(過去1年間:37%、今後1年間:34%)と続き、非正規よりも正社員の採用で人材を確保しようと考えている企業が多かった。

 8月1日現在、正社員等の労働者過不足判断D.I.(「不足」と回答した事業所の割合から「過剰」と回答した事業所の割合を差し引いた値)は33ポイントとなり、21期連続の不足となった。
 
 10期連続で全ての産業で不足となり、「運輸業、郵便業」(47ポイント)、「医療、福祉」(47ポイント)、「学術研究、専門・技術サービス業」(38ポイント)、「建設業」(37ポイント)、「情報通信業」(35ポイント)など幅広い産業で正社員不足が続いている。

 一方、パートタイムの労働者過不足判断D.I.は31ポイントで、28期連続の不足となった。正社員と同様にすべての産業で不足の状況となっている。

 4〜6月に中途採用を実施した事業所は全体の65%。前年同期を2ポイント下回ったものの高い水準が続いている。

 産業別に見ると、「医療、福祉」(89%)、「サービス業」(80%)、「生活関連サービス業、娯楽業」(77%)、「宿泊業、飲食サービス業」(76%)で割合が特に高かった。最も低い建設業でも52%で半数以上の事業所が中途採用を行った。

 7〜9月は58%の事業所が中途採用を予定している。

 8月1日現在の未充足求人がある事業所は全体の51%。産業別に見ると、「医療、福祉」(69%)、「サービス業」(64%)、「宿泊業、飲食サービス業」(57%)、「運輸業、郵便業」(55%)、「卸売業、小売業」(54%)が半数を超えている。

 調査は主要産業の30人規模以上の事業所のうち5835事業所を抽出して実施し、3016事業所から有効回答を得た。