橋下氏について憶測が飛び交った発端は、小池氏が発表した築地市場移転延期に関する9月1日のツイートだ。《私は、小池さんに、平成29年度の予算大改革を成し遂げてもらいたかった》とし、《どうせ移転ということになる築地問題にこれからの小池さんが莫大な労力をかけなければならないのはもったいな過ぎる。知事の仕事は予算編成だ》と、批判ともエールとも取れる発言をしたのだ。 
 この真意について、小池氏、橋下氏双方の関係者に話を聞くと、合致点や対立点から、先々を見据えたそれぞれの思惑が浮かび上がってくる。

 まずは小池氏周辺関係者が解説する。
 「橋下氏と小池氏は、都知事選の時から連絡を取り合い、橋下氏が法律政策顧問を務める、おおさか維新の会(現・日本維新の会)関係者が小池氏を裏で全力で支えてきたのは周知の事実。当選後も、小池氏と橋下氏が極秘会談し、都議会自民党の黒幕であり“ドン”とされる、内田茂前自民党東京都連幹事長打倒のため、あれこれと秘策を練ってきた。橋下氏が大阪府知事、大阪市長時代からブレーンとして起用してきた上山信一慶応大教授が、9月1日に発足した都政改革本部顧問として入っているのも、2人の合意の上です」

 しかし今後、内田氏が死にもの狂いで小池潰しに動いてくるのは必至だという。
 「自民党は都議会127議席のうち60議席を持つ。公明党の23議席と合わせ過半数を占め、ここが動かないと何も決まらない。小池シンパは旧みんなの党の流れを組む『輝けTokyo』会派3人のみで、自公をはじめオール野党に近い状態。その自公が仕掛けてくる一発目は9月の定例都議会で、まずは築地移転延期の無策を徹底して攻めてくるはずです。内田氏は、小池氏の延期発表会見後も、周囲に『俺は何も聞いていない』と不敵な笑みを浮かべていたという。内田氏の側近などは、『あの女を、ここでグーの音も出ないほど叩き潰す』と意気込んでいるとも聞きます」(橋下氏周辺関係者)

 では、共闘したはずの橋下氏が、なぜあえて築地移転延期に異を唱えたのか。
 小池氏周辺関係者がこう明かす。
 「実は、橋下氏は都政の顧問に就任したいのです。小池氏も一時はそのつもりだったのですが、急にそれを迷い始めた。もし橋下氏が顧問として就任すれば、小池都政というより橋下都政のカラーが強くなってしまう。悩んだ揚げ句、“上山さんまででいいのでは”と躊躇しているのです」

 一方、前出の橋下氏周辺関係者はこう主張する。
 「だから橋下氏はツイートして、暗に小池氏の決断を促している。つまり、メンツとかにこだわるな、ということ。あくまで都知事は小池氏で、自分の活躍は小池氏の評判を高め、貶めるものではない」