部下と上司を隔てる「壁」は小手先だけでは崩れない 【矢島雅弘の「本が好きっ!」】

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みなさん、こんにちは!ブックナビゲーターの矢島雅弘です。

僕がパーソナリティを務めるインターネットラジオ『矢島雅弘の「本が好きっ!」』。第17回のゲストは『壁を崩して橋を架ける 結果を出すリーダーがやっているたった1つのこと』(集英社刊)の著者道幸武久さんでした。

この本では「クロス・コミュニケーション」について語っていますが、最近のビジネス書では珍しく、一目でコミュニケーションの本だと分かるタイトルではありません。

最初にその点についてお聞きしてみると、同席していた出版社の担当さんより「この本は、壁を崩して橋を架ける、突き詰めればこれしか語っていませんから。」と自信満々にお答え頂きました。道幸さん自身も、タイトルを決める際に「これだ!」と一目で決めたそうです。

■上司と部下の間の壁がチームを停滞させていた

道幸さんがこの本を書かれた理由は、ご自身の経験・体験からくるものだそうです。コンサルタントとして活躍している道幸さんは、様々なクライアントの元を訪れるそうですが、そのうちの99.99%の職場でコミュニケーションが上手くいっていなかったと振り返ります。

マーケティングやブランディングなどに関するコンサルティングを行っても、各クライアント内部でのコミュニケーションの不具合が原因で、改善案が社員全員に上手く浸透しないなど、「おや?」と思うことが多かったそうです。



道幸さんが指摘するコミュニケーションの不具合とは、簡単にいうと、人と人との間の壁。とりわけ、上司と部下の間の壁が、職場やチームの力を発揮できない要因になっていると言います。

それは例えば、「相手の気持ちを考えない」「過剰な遠慮・気づかい」など、もっと言えば、「自分50:相手50」ではない状態なのです。(この辺りを詳しく知りたい方はぜひ本書をご一読ください)

■コミュニケーションはただ取るだけではダメ

この記事を読んでいる人の中には「そんなことはない、私は部下と定期的に飲み会に行っているぞ」と反論したい人もいるでしょう。ですが、その飲み会、部下の方は心から「参加したい」と思っているのでしょうか?

道幸さんいわく、日本のほとんどの上司と部下が50:50の関係ではなく、70:30あるいは90:10くらいの関係になっているといいます。



こういった関係性を改善しようと、飲み会以外にも、積極的に部下に質問したり、プライベートな事柄を尋ねたりしている方もいるでしょう。でも、それではダメなのです。

「壁があるのに質問しても、コミュニケーションは良くならない」。道幸さんは、こう表現します。

■ノウハウだけに注視しても壁は崩れない

この「壁」とは何だろう?50:50の関係とは何だろう?と、思考のフォーカスを変えることこそが、本書の一番の肝ではないかと僕は思いました。そしてそれに気付いたのは、恥ずかしながらまさにインタビューの途中だったのです。

僕も、本書を読んだ当初は、他のコミュニケーションスキル本と同じように、「何かしらのノウハウを実践すれば大丈夫なんだろうな」と手段にばかりフォーカスしていました。しかし、それでは人の心は動かないし、その人との間の壁も崩れないのです。

さあ、「壁」とは何なのか? どうすれば上司と部下が50:50の関係になれるのか? そして、学生サークルのような居心地の良い職場をつくり、結果を出すにはどうすればいいのか?ぜひ、本インタビューと本書を参考に、おおいに考えてみて下さい。

(文/ブックナビゲーター・矢島雅弘)

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【矢島雅弘の「本が好きっ!」】
ブックナビゲーター・矢島雅弘による書評ラジオ。毎回、話題の本の著者が登場して、本について掘り下げるインタビューを届ける。
オーディオブック配信サービス・FeBeにて無料配信中。http://febe.jp/honga

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