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先日公開された「ゴジラ」シリーズ最新作「シン・ゴジラ」は公開直後から大ヒットを記録し、その内容には観客も専門家も絶賛の声をあげている。庵野秀明監督の手腕もさることながら、実はこの作品の完成度を支えたのはボランティアのエキストラたちと、彼らに配られた“とある文書”だったという話題が持ち上がっている。

エキストラに配られた“蒲田文書”とは!?


昨年9月の蒲田駅前でのロケにエキストラとして参加した男性が8月1日、Twitterにアップしたのは演出部から配られた“演技心構え”のテキスト。「巨大不明生物に襲われて逃げ惑う市井の人々」役の心得が書かれた、A4サイズほどの大きさの紙だ。




その中で撮影の意図を次のように説明している。まず、巨大生物の恐怖を観客に感じさせる最も効率的な方法は、「逃げ惑う市井の人々がまるで本当に襲われているように見えること」。だが、単に芝居で恐怖の表情をしたり、大きな叫び声をあげたりすれば良いわけではないという。

「もし本当に巨大不明生物に襲われた場合、人はその人の個性によって違った反応をすると思います。猛ダッシュで逃げる人、ノロノロと逃げる人、体が固まり動けない人、興味が勝り写真を撮る人、顔を巨大生物から背けず体だけが逃げる人、子供を必死に守ろうとする人、連れとはぐれ人波の中で探し続ける人……それら個性の集合体が、画面に力強さと、リアリティと、本物の恐怖を与えてくれると、我々は考えています」

それぞれのエキストラが「自分が巨大不明生物に遭遇したらどうするか」の想像力を稼働させることを求め、「皆さまお一方お一方にしかできないお芝居をしてください」と訴えている。そして「決して無理はしないでください。何よりも、自身の身の安全を第一に考えてください」とエキストラたちを気づかいつつ、最後は「この映画を1ミリでも質の高い映画にするために、何十年、何百年単位で語り継がれる映画にするために、皆様の力をお貸しください」というなんとも熱い言葉で締めくくられている。

この通称“蒲田文書”には、「なんか制作者の熱意が伝わってきて読んでたら泣きそうになってきてしまった」「この文面読んだだけでも胸が熱くなる」「蒲田シーン、よかったよーー!!」「本当に、何十年、百年単位で語り継がれる映画になったと思うよ」と思わず胸をうたれてしまう人が多くいたようだ。

“蒲田文書”につられて劇場に足を運ぶ人も


この熱すぎる“蒲田文書”に感動するあまり、劇場に足を運ぼうと考える人も少なくはない様子。「まんまとゴジラ観たくなった」「影響受けまくってる。正直に言うとめっちゃ気になってる」と、思わぬ宣伝効果も生み出しているようす。さらには「なあ? もうここに込められた想いだけで泣けるやん?? シンゴジラ最高やん?? ほんと、悪いこと言わないからみんな今すぐ劇場で見よう??」と思いを抑えきれず、信者になって布教活動を始める人も。

映画の内容だけでなく、気合の入った演出で様々な角度から人々を楽しませている「シン・ゴジラ」。多くの人が関わって作られる映画ならではの熱すぎる波及効果で、まだまだヒットは続きそうだ。