高知中央vs土佐
二者連続本塁打を放った高知中央2番・的場 悠起（3年・右翼手）
まず勝ったセンバツ出場校・土佐の現状について触れておこう。
まずエース・尾�� 玄唱（2年・165センチ60キロ・右投左打・土佐中出身）は明徳義塾との四国大会出場決定後に腰痛を発症。「夏には間に合うが、1週間前にようやく投球練習をはじめた」（西内 一人監督）とあっては今大会の登板は当然不可能。
また、遊撃手の森�� 勇斗（3年・169センチ65キロ・右投右打・須崎市立須崎中出身）も肩を痛め夏の高知大会出場も微妙。この2人は今大会ベンチ20名からも外れている。
「他の選手も伸びているので」と、それでも指揮官はつとめてポジティブ。確かに8回裏、押し出しと併殺で2点返した二死三塁から起死回生の三塁強襲同点打を放った近藤 敦（2年・左翼手・右投右打・176センチ62キロ・高知市立西部中出身）は昨秋・センバツではベンチ入りなし。
最後は9回裏無死満塁から4番・松原 頌季（3年・投手兼左翼手・174センチ70キロ・左投左打・土佐中出身）の左中間サヨナラ打で試合を締めた土佐であるが、それも近藤をはじめとするセンバツスタメン外選手の功績あればこそでだ。
3番中堅手から2番手マウンドに立った吉川 周佑（3年）
その一方で土佐を苦しめた高知中央の闘いにも光るものがあった。4回には1番に抜擢された三石 智史（3年・左翼手兼一塁手・左投左打・172センチ70キロ・四万十市立西土佐中出身）がライトへ先制アーチをかければ、続く的場 悠起（3年・右翼手・177センチ66キロ・右投右打・丹波市立市島中＜兵庫＞卒）も左中間スタンドへ連続アーチ。
守っても先発の藤本 海斗（3年・179センチ68キロ・右投左打・南国市立香南中出身）5回で6四死球を与えるも無安打無失点。6回表には1・2番で作った一死二塁から3番・笹山 湧次（3年・遊撃手・右投右打・166センチ58キロ・豊中リトルシニア＜大阪＞出身）の左前打で3点目。終わってみれば夏に向けてのテーマ「2番手投手の育成」に沿い6回以降に投げた2投手が崩れ勝ちを逸したものの、試合の主導権は間違いなく高知中央が握っていた。
「野球に勝って、勝負に負けました」。試合後、このように話すのは2月20日から高知中央を率いる砂川 洋監督。市立尼崎（兵庫）・川崎製鉄神戸でのプレー経験を経て、母校で30余年にわたりコーチ・監督を歴任し、金刃 憲人（立命館大〜読売巨人軍〜東北楽天ゴールデンイーグルス）や宮西 尚生（関西学院大〜北海道日本ハムファイターズ）ら、プロ・アマ球界に数々の名選手を送り出している育成メソッドが、新天地でどのように発揮されるか。この試合でも見えた一端が、どのように発展していくかが楽しみである。
（文＝寺下 友徳）
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