新次郎が心配です「あさが来た」145話
朝ドラ「あさが来た」(NHK 月〜土 朝8時〜)3月21日(月)放送。第25週「誇り高き人生」第145話より。原案:古川智映子 脚本:大森美香 演出:尾崎裕和
明治維新以来のピンチ大阪恐慌によって、銀行がたくさん倒産をはじめ、加野銀行にも激震が走る。
押し掛けてきた人たちを見事に捌くあさ(波瑠)。
「あと五分、
あと四分、お待ちになっておくれやす(にっこり)」なんて、ユーモアも交える余裕もあって、こういう人、かっこいいなあと思う。
一方、新次郎(玉木宏)も、「うちの格別なおなご」とあさを全面的に信じて大らかに構え、それによって銀行の人たちの気持ちをも落ち着かせる。
渋沢栄一(三宅裕司)の言葉を思い出させるなど、抜群のサポート力を発揮し続ける新次郎。「ねぎらう」のが仕事とばかり、せっせとお茶を煎れたり、肩を揉んだり。
だが、三味線仲間が亡くなりはじめ、ひとりで寂しいので茶道をはじめるなど、なんだかちょっと現役感がなくなってきているのが寂しくもある。
ここのところ、銀行、大学校とビジネス編及び、娘の恋編になってしまっていたので、新次郎の役割があまりなく、ちょっとした助言するか、面白い部分を担う(娘の男に嫉妬するなど)しか他ないのだ。
その若干の所在なさと、老いてきて動作がやや遅くなっているところを、玉木宏がさりげなく演じている。華があるからどうしたって目立ってしまうのだが、もっとジミメンだったら、かなり肩身の狭いキャラになっていたかもしれない。いや、逆に、華があり過ぎるからよけいに何もしてない感が際立ってしまうのかもしれない。捌き方が難しい役を、玉木宏はギリギリまで抑制した演技で、品位を保ち続ける。その姿は、雪の中で咲く椿のようだ。
自分で選んだ人生(生き馬の目を抜くビジネスの世界に身をおかない)だから悔いはないだろうけれど、今、新次郎の心のなかが気になる。このもやもやこそ、ドラマだ。
(木俣冬)
木俣冬の日刊「あさが来た」レビューまとめ読みはこちらから
145話はこんな話
明治維新以来のピンチ大阪恐慌によって、銀行がたくさん倒産をはじめ、加野銀行にも激震が走る。
サポートに徹する新次郎
押し掛けてきた人たちを見事に捌くあさ(波瑠)。
「あと五分、
あと四分、お待ちになっておくれやす(にっこり)」なんて、ユーモアも交える余裕もあって、こういう人、かっこいいなあと思う。
一方、新次郎(玉木宏)も、「うちの格別なおなご」とあさを全面的に信じて大らかに構え、それによって銀行の人たちの気持ちをも落ち着かせる。
渋沢栄一(三宅裕司)の言葉を思い出させるなど、抜群のサポート力を発揮し続ける新次郎。「ねぎらう」のが仕事とばかり、せっせとお茶を煎れたり、肩を揉んだり。
だが、三味線仲間が亡くなりはじめ、ひとりで寂しいので茶道をはじめるなど、なんだかちょっと現役感がなくなってきているのが寂しくもある。
ここのところ、銀行、大学校とビジネス編及び、娘の恋編になってしまっていたので、新次郎の役割があまりなく、ちょっとした助言するか、面白い部分を担う(娘の男に嫉妬するなど)しか他ないのだ。
その若干の所在なさと、老いてきて動作がやや遅くなっているところを、玉木宏がさりげなく演じている。華があるからどうしたって目立ってしまうのだが、もっとジミメンだったら、かなり肩身の狭いキャラになっていたかもしれない。いや、逆に、華があり過ぎるからよけいに何もしてない感が際立ってしまうのかもしれない。捌き方が難しい役を、玉木宏はギリギリまで抑制した演技で、品位を保ち続ける。その姿は、雪の中で咲く椿のようだ。
自分で選んだ人生(生き馬の目を抜くビジネスの世界に身をおかない)だから悔いはないだろうけれど、今、新次郎の心のなかが気になる。このもやもやこそ、ドラマだ。
(木俣冬)
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